13日の木曜日

健さん

第1話

俺たち3人組は高校の時の仲良し同級生だ。俺の名前は、近藤。にやけた顔の、野村。背が高くて、高校の時は、こいつだけよく女性からモテた、田原だ。もう俺たちは、定年退職組だ。3人共、仕事はしていない。毎日が、日曜日で、退屈していた。ある夜3人で飲んでいた。「テレビで、この間やっていたんだけどさ、青森県の恐山に、行かないか?」と、言ったのは、田原。「いいね!温泉入りたいよな。」と、野村。「コロナも落ち着いてきたし、旅行行こうか。」と、俺。そして、青森県の恐山に、行くことになった。バスに揺られて、やっとこさ着いたのは、恐山温泉郷。山あいの13件しかない鄙びた温泉地だ。今日泊る旅館は、”明菜旅館”だ。玄関には、大きな熊のはく製が、置いてあり、すでに、もう、何人かの宿泊客が、来ていた。今は、6月で、春だけど、冬なら、大雪で、大変だろうな。主人に聞いてみた。12月から、3月まで、雪のため、閉館しているとの事。「せっかくはるばる来たのだから、どこか、観光で、いいところは、ないですか?」と、野村が、聞いた。「そうだね、ここから、車で1時間行ったところに、河井村というところが、あり、そこには、有名な柿の木があるよ。」「ただの柿の木ですか。」「テレビでも、何回か放映されたのだけど、その柿の木の下で、自殺者が相次ぎ、そこで、写真を撮ると、”霊”が写るらしいんだよ。いわゆる、心霊スポットだよ。」「へ~え。」と、俺。それじゃあ、行ってみよう!ということになり、タクシーで、向かった。結局主人は1時間近くと、言っていたけど、1時間半かかった。田原が、一番に降りて言った。「なんだ、”ただ”の柿の木じゃないか。」俺も野村も降りてその木を見た。普通に比べたら、随分と大きな樹だな。高さも、6メートルは、あるだろう。この場所で自殺したのか?自殺スポットで有名なのだろう。もうすでに、何人か来ていて、スマホで、写真を撮っている。言い忘れたが、高校の時俺たち3人は、部活で、カメラ部だった。よって、少し高い、カメラマンにも、引けを取らないカメラ持参してきた。ちなみに、俺のは、キャ〇ンのカメラ。もう2人は、色々な角度から、自慢のカメラで、撮影している。俺も撮ろうと、思ったとき、ふと、下みたら、10センチほどの、石を見つけた。なんの、とりとめのない、ただの石だが、何か、感じて、記念にと思い、ポケットのなかに入れ、俺も、撮影の仲間に入った。そして、俺たちは、タクシーの中。「随分と、撮ったな。スマホなら、すぐ、撮ったのを見れるのだが、まあ、現像して、見るのも、楽しみだな。」すると、野村が、心配そうに、「写真撮って、呪われたりしないかな?だって、自殺の名所だろう?」すると、タクシー運転手が、「月に2回霊能者が、お祓いしていて、大丈夫そうですよ。」(ほんまかいな!?)今日は、12日の水曜日だ。そして、翌日。お会計を済ませ、「どうでしたか?」と、主人。「いや~、いい温泉でしたし、食事も美味しかったです。」と、俺。すると、主人が、慌てて、「あっ、そうそう、1つ言い忘れていましたが、あの柿の木で、何か、持ってきたりしてませんよね?」2人は、「いやあ、何も拾ってきてませんよ。撮影だけしましたけど。何かあるんですか?」「なら、いいんだけど、13日の木曜日に、あっそうそう、今日が、ちょうど、13日の木曜日だけど、自殺者の怨霊なのか、よくわからないけど、たとえば、記念とかで、木の破片とか、石とか、持ってくる人が、たまにいるらしいんだけど、13日の木曜日に、拾ってきた人たちは、みんな、変死しているらしいんだ。それを聞いた俺は、気を失った。

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13日の木曜日 健さん @87s321n

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