おつかれさん、おやすみなさい

香坂 壱霧

──────

 この鏡さん、芸姑さんの姿を見過ぎたんや。ほやから、曇らせたまんまで、。たまぁに、こうやって箱から取り出して、お疲れさん、言うてあげるん。


 ほんとうの姿ってなあに?


 さやちゃんが、もう少し、大人になって、この鏡さんを忘れとらんかったら、ばあちゃんに会いにきたらええよ。


 忘れない。こんなにきれいのに、忘れたりしないよ。また、おばあちゃんに会いに来るから、絶対、教えてよ。絶対の絶対に!


 うんうん。待っとるけんねぇ。

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