第9話 ことごとく間違える表情


「ハ!ヤ、トっ………!こ、こんにちは。職員室に何か用?」


焦りすぎて、挙動不審になっている。


「やぁ。うん、ちょっと頼まれごとで」


ハヤトは何か書類を持っている。


「そ、そうなのね。今の話、聞こえた?」


「いや、聞いてないよ」


ハヤトが首を横に振る。良かった、聞かれてはいないようだ。オリビアは安心して立ち去ろうとしたが、ふと足を止めた。


「そうだ、これ」


オリビアは、どうだ、と言わんばかりに、テスト用紙を見せつけた。


ハヤト、どう?100点よ。


「へぇ」


ハヤトが少し驚く。


「ふふん」


得意気なオリビア。

しかし、次の瞬間、ハヤトはオリビアの頭をポンポンと撫でた。


「っ!?」


「すごいじゃないか。頑張ってるもんね、オリビアは。偉い偉い」


オリビアは突然の事に面食らい、顔を赤くして怒った。


「な、何するの!?やめてよ!」


「あはは、ごめんごめん」


「だからね、あなたに褒めて貰いたくて見せてるんじゃないのよ」


「そうなの?ニコニコ可愛く見せてくれるから、てっきり僕にこうして欲しいのかと思った」


オリビアは、突然可愛いと言われてドキッとする。


「え…!?ち、違うから!!えっと、そう!あなたは何点なのかって聞きたいのよ!」


「ああ、そういえば僕も満点だったよ」


ハヤトは平然と答えた。オリビアはため息が出た。


「…聞かなきゃ良かった。じゃあ、さよなら」


オリビアはハヤトの横をすり抜けた。

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