第7話 なんとかなった…のかな?

「もう、触らせません!!」


「えー!今朝、痴漢退治したじゃん!!正当な報酬じゃん!!」


「私の言うこと、まったく聞いてなかったでしょ!?あれほどおっぱいと言う単語は使うなと言ったのに…。クラスメイトのほとんどが知ってるってどういうことよ!!もう恥ずかしくて、学校に行きたくない!!もう!!今日はさぼろうかな!!」


1人、激怒しながら、登校する杏花。そこに、申し訳なさそうなんだけど、何となく、反省していない陸に、また、杏花は怒りを募らせる。


「なぁ…もう誰にも言わないからさー」


「もう遅いわよ!!君のせいで、絶対いやがらせされる…」


「なんで」


「もう!!そうなことも解らないの!?君はモテるの!!」


「へ!?そうなの!?」


「今更!?」


「だって、高校に入って、まだ18人にしか告白されてないけど…」


(どんな経歴を持って中学を卒業してきたの?菊池くん…)


杏花は、心の中で突っ込んだ。


「18人て、十分多いって!!私でも6人くらいよ?」


「6人!?全員〇してやる!!」


「待て!!君が18人で、私はまるで動揺していないのに、なんで6人で君が動揺するのよ!ふつう逆でしょ!!」


「でも、学校中、み―――んな杏花のおっぱい見てるから、全員〇したくなる」


「…なんでもいいけど、その『俺のおっぱい疑惑』は、何とか、私がフォローするから、今後一切、そう言う…つまり!“おっぱい”と言う単語を口に出すのは禁止!!良いね!!??」


「…はい…」


「大きな声で!!」


「はい!!」




*****




「ねぇ、杏花ちゃん、杏花ちゃんて、4組の陸くんと付き合ってるって本当?」


「うん。まだ、付き合い始めて間もないけど…」


「なんでそうなったのぉ?」


「あー…。私、電車通学なんだけど、満員電車でよく痴漢に遭ってたの。その時助けてくれたのが、菊池くんで…。それで、少しずつ仲良くなってって感じかな?」




「へー…。なーんかきれいごと言ってる人がいるー」


(出たな!幸田!田所!)


「4組の男子からもう聞いてるよ?陸くん、姫野さんのおっぱいは俺のものって言ってるんでしょ?」


「え!?2人って、そう言う関係!?」


「違う違う。全然そう言う意味じゃないよ」


「じゃあ、言ってみなさいよ!!どういう意味なのか!!」


「私のおっぱいを、かばったのが俺だって言ってたのを、他の男子が効き間違えたらしいよ。本当に、思春期の男子はすぐ尾ひれ付けるから、困るよね~」




そう言って、幸田、田所のみならず、食らうメイト全員を納得させた杏花。




「なぁ、お前、今日も杏花ちゃんのおっぱい触ったの!?」


4組の、窓際の陸の席に男子どもが集まり、毎朝恒例の杏花のおっぱいに関する雑談を始めた。


「んな訳ねぇだろう?あんなん嘘だよ。てかジョーク?お前らおちょくってたの!!」


(俺…棒読みじゃないかな…?)


陸の手には、国語の教科書。そおページには、ずらりと書かれた大量のセリフだった。


「はぁ?んだよそれ!!」


「だから、俺はずっと姫野がすきで、姫野のすべてが俺のものって言おうとしたら、ああなっちゃたの!!俺、勉強できないから!!悪かったな!!」


「あ~んだ…。でも、別れたら、教えてね♡俺、あのおっぱい、揉みたい」



バキッ!



「冗談だよー」

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