面白企画ハーフ&ハーフ3の回答をここに

はらだいこまんまる

第一回目のお題キャラクター『幼少にして大黒柱の男の子』

お題編 濁沼蓮

「われらの仕事を簡単に説明すると、だ……」


 天使の笑みを浮かべて上役はこう告げた。


「……貸したものは利子つけてちゃんと返してもらえ、に尽きるよ。キミィ」


 それから目の奥に悪魔の炎をちらつかせて続けた。


「だから、返してもらうまではくれぐれも手ぶらで戻ってこないように」


 そう。貸したものを返してもらう。

 わたしの仕事を簡単に説明するならそういうことだ。


 実にシンプルな商売。

 素直に返してくれる相手ばかりなら、こんなに良い仕事はないくらいだ。


 だがもちろんそんな相手ばかりではない。

 それどころか海千山千の猛者……もとい、顧客がたくさんいるのだ。


(いつの間にか胃薬が手放せなくなったな……)

 ガリリと錠剤をかみ砕いて飲み込み、青空をにらみつける。


 今日の交渉先はなんと男の子。

 しかも幼い弟妹を抱え、親の面倒まで見ているしっかり者。

 確かにいい子なんだけど……それだけに厄介な相手なのだ。

 

 かくしてわたしは憂鬱をずるずると引きずりながら、今日も顧客のもとに足を運ぶのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る