親と子と絆③
鬼が暴れる。人の領域を超えた脚力で地を蹴り、全てを破壊する怪力で殴り殺す。育て親の首は派手に吹き飛び、血みどろの花火が出来上がる。
「死ねッ死ねッ! 化け物ども!!」
そして更に、夏目はその牙を人身売買組織へと向ける。が、その異常ともいえる戦闘力を見た敵も臨戦態勢に入り、強力な
怒りに身を任せるばかりで力の使い方を知らず、冷静な判断が出来ない夏目は隙を狙われ、何発も攻撃を貰ってしまう。
「ぐぁっ!!」
そして間髪入れず、よろけた身体に更なる追撃が襲う。夏目は人間離れした反応でそれをなんとか避ける。がしかし、
「クソっ…………!」
破格の耐久力を誇る能力を持ってしてもその
「
「
「
「………………ッ」
危機的状況の中、それでも夏目は思考を巡らせる。これ以上生きた所で意味の無い人生、この連中を殺せるのなら他はいらない。と手負いの身体が逆に、夏目にその覚悟を決めさせた────と同時、鬼と宇宙人達を囲っていた倉庫の外壁は大きな音を立て、崩れ落ちた。
「"18連勤"。この意味が、君達に分かるかい?」
その瞬間、夏目は声のする方向へ思わず顔を向けた。その男は空中で赤いガラスのような何かに乗り、上からコチラを伺っていた。
「
そして突然の襲撃に動揺する惑星人のことなど歯牙にも掛けず、言葉を紡ぐと同時に放った。
「要するに君達は早く死に、ボクを寝かせるべきってことさ」
結界の
「……誰?」
「ごめんよ、自己紹介がまだだったね」
割座で
「ボクは鏑木修吾。特異局が職員、まあ有り体に言うと……悪い宇宙人を倒す"サラリーマン"かな」
要領を得ない顔をする夏目の顔を見て、鏑木はククっと笑う。そして手の平に載せられた指先から沿うように手首をグッと引き寄せ、夏目を立たせる。
「さて、混乱中に悪いが君には二つの道がある」
鏑木は人差し指と中指を立て説明を始めた。変異者となった者は職員の監視の元、一般人として生活をする。夏目の場合、未成年なので専門の養護施設で過ごすことになるだろう。
これから先、平穏な生活がお好みならコッチがオススメだよ、と見せつけていた人差し指をぴこぴこと動かす。
「二つ目は……?」
鏑木は夏目の質問に対しニヤリと笑みを浮かべると、人差し指を拳へ折り込んで答える。
「ボクと一緒に"仕事"をしよう」
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