学徒防衛戦③
湾曲した刀剣、中国武術における武器の一つ、凛風の片手に握られた凶器。刃の形状から
「『
凛風の手元から突然魔法のように現れた刃物。鏑木が目視でその武器を確認した次の瞬間、更にその頭上には十数にもおよぶ『RPG』
「さあ、この程度で死んでくれるなヨ」
弾頭が凛風の踏み込みと共に発射される。二人の距離は一気に詰まった。鏑木はその間合いに合わせ、更に能力を展開。
空中を飛ぶ爆弾の一つ一つを全て結界で囲い込み迎撃。
そして、続く凛風の接近。徒手空拳で防御を突破する相手だ。少しでも動きを止め、捌くしかない。鏑木は纏う防御とは別に身体を覆う棺状の結界を
初太刀。鏑木は棺の結界で刀剣速度を遅らせ、後方へと回避。しかし凛風の強烈な踏み込みにより、腹部に軽度の裂傷を負う。
「良き判断ダ。それで……次はどうする?」
距離は五歩。間合いが遠いな、と凛風は青龍刀を捨て六角手裏剣を投げる。
鏑木は腹部の傷口を結界で塞ぐと同時に投げられた暗器をギリギリで横に跳んで避けた。
視線を再度凛風へ移す。その手元には薙刀、二尺三寸はあろう
(新たな武器の創造……後ろの戦闘機も含めるなら師人の機械版みたいな能力か?)
二の太刀。凛風は神速のような"突き"で防御ごと穿つ。がしかし、その軌道は大きく下へと外れ、鏑木の片脚を
「ッ!! コレが無かったらおじさん死んでたよ!!?」
鏑木の血が滴り落ちる。地面に張っていた結界が瞬間的に床面を削り、凛風の足元に窪みを作ることによって踏み込みをズラし、攻撃を逸らした。
続く三の太刀。崩れた体勢から矛先を地面に突き刺す。勢いそのままに身体を預け、凛風は顔面に向けて蹴りを繰り出す。
鏑木は弾力性を持たせた結界を攻撃の間に挟む。と同時に受け身を取り、転がるようにその場から距離を取った。
「うひぃ、やっとスピードに慣れてきた。さすがにこの歳で格上相手は厳しいねぇ」
「…………」
凛風は地面を踏み鳴らす。標的の軽口を聞きつつ床面の結界を一蹴した。
「いやぁ、本当にすごいよキミ。ボクの結界をこんなポンポン破壊出来る人は初めてだ。どうやってるのそれ?」
「……鏑木、簡単な話ダ。人生は学びの連続。オマエが使用した
凛風は薙刀を前に突き出し、縦に向ける。そして鏑木はその目を疑った。
実に極小、意図して晒してくれなければ理解することすら叶わぬ神業。
凛風は武器に纏わせた変異力を小さな刃状に変化させ、チェンソーのように超高速で流動。擬似的に相良の振動刀や鏑木の棍棒結界を"技術のみ"で再現していた。
「なるほど"天才"ってやつかい……?」
「違う、"積み重ね"の為せる技ダ」
「いいねそれ、ボクも言い訳は嫌いだ」
鏑木は足元を結界で押し出し、空中へと飛んだ。と同時に足場を幾つも作り、高速で駆けた。負傷した脚から血が吹き出し、凛風の頭上に赤い雨と無数の結界が浮かび上がる。
足場を駆使し、凛風の死角へ常に入り続ける。そして弾丸サイズの結界を何発も上から放ち続けた。
しかしそれらは当然の如く弾かれ、当たらない。凛風は豆鉄砲にもならない攻撃の嵐に「この程度なのカ?」と不満を露わにしていた。
とその様子に鏑木は不敵な笑みを浮かべ、先の会話に続く言葉を上から放った。
「だからとっておきを出すよ」
「そんな暇を与えると思うカ?」
「それなら大丈夫」
鏑木は合掌するようにパンッと手を叩く。その瞬間、地響きのような揺れが四方八方に木霊した。
「準備は出来てるから」
それは凛風の周囲、学校よりも更に外。街全体を覆う、数えて"八"の立方体。任務着任前から仕込んでおいた奥の手。
「座標は
「………!?」
凛風は回避のためにその場を離れようとするが、棺の結界に行く手を阻まれる。
「『
街を囲っていた八つの結界は幾何学的な形状に変化、そして瞬時に発動した。
それは超遠距離から最適な速度・攻撃範囲・そしてその角度を自動的に選択し八方向から同時、溜め込んだ力を一気に敵へと放つ破壊の一撃。
「《
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