3話 温度
カズハやダンゴら戦闘部隊の面々がカザーニィに戻ると、国の人々は活気良く迎え入れてくれた。取り分け子どもたちの歓迎は手厚く、疲れているであろう大人たちに水を汲んできたり、どんぐりや泥団子の差し入れで戦士たちの帰還を労うのであった。
「カズハ姉ちゃんおかえり!てき、ぶったおしてきた⁉」
「はい、どんぐりあげる。どこかケガしてない?ふしょうしゃはあたしのびょういんに来てね」
「ええ、みんなありがとう。私は平気よ。ちっとも怪我なんてしてないわ。それより、おじちゃんたちをマッサージしてあげたらどうかしら?ぐりぐりぃって」
カズハがそう言ってダンゴたちを見ると、子どもらは一斉に男たちの方へ向かった。彼らは無邪気の温かい歓迎に喜びながらも、元気過ぎる幼子たちに少々手をこまねいている様子であった。和気あいあいのおしくらまんじゅうが出来上がり、群衆の中からようやく抜け出してきたダンゴはカズハの元へと歩み寄った。
「あれほど子どもたちが元気なのはワシらの国ぐらいなもんですぜ、隊長」
「ちょっと、戦いが終わったら隊長って呼ぶのやめてって言ったじゃない、おじさま」
「おっと、ついうっかり。カズハちゃん」
十七にして
前述のようにカザーニィは
ダンゴのみならず、国中の誰もがそんなカズハの細やかな幸福を大事にしたいと思っていた。しかし、こと戦闘においては、この国はもう彼女に頼らずに自衛を成し遂げるすべはないのだということも、国中の大人たちは重く理解していた。それだけカズハという少女は闘いに秀でた才覚を持ち、またそれだけ世界は武力で奪い合わなければならない程に荒廃しているのである。
戦いに勝つ度に彼女の中の鬼は育ってしまう。いつまでもこうしては生きてゆけない……。これから始まる小さな宴会の前に、ダンゴはひとり抑えきれない焦燥を抱えて武器を見つめるのだった。
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