第6話 買い物

偶然、喫茶店にて遭遇した神門と霧崎は、霧崎の願いにより、共に買い物に行くこととなった。


「それで来たのが、スポーツ用品店」

「練習着とか新しいの買おうかなって思って」

「それ俺、必要か?」

「先輩に選んで欲しいんですよー」

「いや、着たいのを着れば良いんじゃないの?」

「それでもですー」

「はいはい」


神門は、仕方なく霧崎に似合う練習着を探す。


「先輩、これどうですかー?」

「これってリストバンドじゃん。練習着を見に来たんじゃないの?」

「一緒に同じの着けません~?」

「えぇ…」

「まあ、かごに入れちゃいますね」

「おい」


霧崎は、リストバンドを二つ、手に取り買い物かごに入れる。


「そういえば、先輩のバッシュってあんまり店で見かけないですよね?」

「んぁ?そうだな」

「どこで買ったんですか?」

「オンラインストア」

「そうなんですか?}

「カラーリングとか、自由に決められるからな」

「ってことは、オーダーメイドなんですか!?」

「そうだけど」

「すごっ」


2人は、店内を見て回りながら、お互いが履いているバッシュについて話し合う。


「あっ、先輩。これなんか可愛くないですか?」

「そうかもな」

「ちゃんと、見てくださいよ~」

「はいはい」

「適当だなぁ」


色んな、シャツを手に取り、デザインを見る。


「先輩って、同じメーカーというかブランドの練習着着てますよね」

「そうだな」

「こだわりなんですか?」

「まぁそんな感じだな」

「へぇ~。じゃあ私もそれ着て良いですか?」

「いや、好きにしたら?。俺の許可とかいらんだろ」

「やった」


霧崎は、神門が普段、練習着として着ているデザインの服を手に取りかごにいれる。


「こんな感じですかねぇ」

「いや、知らんけども」

「せっかく、女の子と買い物しているんですから、もっと喜んでくださいよ」

「えぇ…」


2人は会計を済ませ、店外へと出る。


「人多いなぁ」

「そうですねぇ」


休日の街は、人が多く賑やかだ。


『ドンッ』


「きゃっ」

「危ねっ…」


誰かが霧崎とぶつかりそのまま神門にもたれかかる。


「大丈夫か?」

「せ、先輩…」

「なんだ?」

「いい匂いですね。香水なに使ってます」

「今、それ気になるとこか?」


霧崎は、神門にもたれかかったまま、匂いを嗅いでいた。


「ほら、立てよ。怪我とかしてないか?」

「ありがとうございます…。怪我はしてないです」

「気をつけろよ」

「は、はい」


霧崎は、体勢を整え、服が乱れてないか確かめる。


「それで、これからどうする?帰るか?」

「そうですね…。なんだかんだ言って、もういい時間ですもんね」

「あの喫茶店にいた時には昼過ぎだったからな。仕方ないだろ」

「そうですね」


2人は、家に帰る事にした。

その帰り際、2人の間には、特に会話はなかった。


「あっ、先輩。そういえば、これ」


そう言って霧崎は、レジ袋からリストバンドを取り出した。


「1つは先輩のですから。練習の時とか、試合の時につけてください」

「分かったよ」

「では、私はこっちなんで」

「おう、気を付けて帰れよ」

「はい。先輩こそ」

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