第2話木守と真白の日常

「姉ちゃん?ゲームしよ。Pubg」


Pubgとはバトルロイヤル系の

アクションゲームだ


「木守くん。このゲーム好きだよね?協力ゲームだからかな?」


他にも真白とはAPEXなどもやっている

だがスマホで手軽にできるPubgが

お互い慣れている


「姉ちゃんに最初これ誘った時、向いてないとか言ってたけどめっちゃ上手くなってるじゃん」


そう。真白はゲームがやたら上手い

特にFPSはやたら上手い

Pubgでもヘッドショット率40パーセントover

理由はヘッドショットのエフェクトが

好きだからという理由らしい


「始めてるの俺が3年前で姉ちゃん数ヶ月じゃん…ブランクはあるけどさ…」


木守は割と前からやっていたのだが

数ヶ月で真白にランクは抜かれていた

と言うかプレイも真白のほうが上手い

スコープ無しで100m先の敵にヘッドショット

喰らわせるくらいには…

真白の名前の通り

ロシアの白い死神事シモ・ヘイヘ

レベルだ…


「お姉ちゃんはゲーム楽しいからやってるだけだよー。木守くんよりやってるからランク高いだけだよ」


そう言う真白だが…ランクは負け続けると

落ちるのはどのゲームもそうであり

やってるだけで上がるものでは無い


「ホロサイトすら無しで頭抜ける姉ちゃんがやべぇよ…姉ちゃんってやっぱなんでも出来るんだなぁ」


真白はゲームもそうだがパチンコやら

ポーカーやらも木守から教えられて

木守よりも上手いものもある

何より家事全般出来るのと趣味がお菓子作り

女子力の権化である


「お姉ちゃんもなんでもは出来ないよ?出来ることだけ!」


なんでも出来る委員長のような事を言う真白


「それ姉ちゃん元ネタ知らないで言ってるよね…まぁいいけどさ。そーいや最近のオススメアニメある?」


真白は元々アニメは勧められたら見るレベルだったが木守の厳選オススメアニメの効果か

自分からアニメを見るようになった


「お姉ちゃんも色々見てるけど今期は面白いの多いから迷うなぁ…」


そんなアニメ談義も尽きないが

何故 姉萌真白がお姉ちゃんと呼ばれているのか

それは真白が子供好きであり世話好きであり

なにより木守のようなほっといたら

どうなるか分からない生き物に弱いからだ


故にお姉ちゃんになった

ちなみに今更だが血縁関係はない

つまり恋人通しの呼び方みたいなものだ


「今月姉ちゃん忙しそうだよね。大丈夫?」


最近の真白は色々忙しいのは事実だ

だが真白自身がそれとなくこなしてるので

傍から見たら

分からないが大変そうなことくらいは

木守にだってわかる


「んー。お姉ちゃんも頑張ってるんですよー?

ちょっとくらいご褒美くれてもいいんじゃない?」


疲れてるだろうに余裕で返す真白


「何か欲しい物でもあるの?姉ちゃん」


一応リクエストは聞くタイプの木守だ


「んー。お姉ちゃんはご飯とか!焼肉とかお寿司とか行きたいかなぁ」


食べ歩きデートとかたまにするのだが

いつも真白がよく食べて木守はギブアップしてる


「姉ちゃんその身長でよく食べるよなぁ…

俺なんて身長の割に1日コーラだけとかあるのに…」


真白が157cm木守が180cm

真白の体重は大福3つ分とかだとして

木守は75kgはある

コーラだけなのも食事がない訳では無く

食欲がないからと言う理由だ


「木守くんが食べなさすぎなの!お姉ちゃんは普通ですよー?なんてね…ちょっと太っちゃったからダイエットしなきゃなんだけど…」


真白も色々気にすることはあるようだ

だが木守がまともに食事を食べてない事も

分かった上でご褒美は食事系が

いいと言ってるのだろう


「なら寿司のほうがヘルシーなのかな?

でも姉ちゃんさ。寿司屋行っても唐揚げとか食べるじゃん」


真白は子供舌だ

コーヒーは目覚ましとしてなら飲めるレベル

回転寿司でもサイドメニューがメインのタイプだ


「最近の回転寿司は進化してるの!時代がお姉ちゃんに追いついたんだよ!」


えへんにやりと言った様に言う真白


「身長の成長は順調でもなく追いついてないんですけどそれは…」


真白は並ぶと意外とちっこい

23cmの差だと頭一個分違うもの

なのかもしれない


「身長と言えば木守くん。雨の日のデートはちゃんと傘差すんだよね。びっくりしたってか意外だったかも…」


そもそも25歳でひきこもりで自由人

お金も自由というのはさすがに有り得ない

それは木守の環境がそうさせてる


「あぁ。昔は傘なんて差してくれる人がいて当然だと思ってた。でもいい歳になって女の子に持たせるのもだめじゃん?」


木守の言う昔とは幼少期で

その時は木守の傍に誰かしら傘やら荷物を持つ

人が存在していた。簡単に言うとただのボンボンではあるが木守自身自覚もある


「木守くん。お姉ちゃんがなんでもしてあげないとって思う時あるから傘くらい持つよ??」


真白のような甘やかしタイプの人間しか

周りに居なかった木守が常識知らずになるのは

必然とも言える。


「そんな事までさせてたら、さすがに申し訳ないよ。姉ちゃんにはいつも世話になってるんだし」


一応最低限の礼儀くらいはあるようだ

くだらないプライドなのかもしれない


「木守くんも大人になって…お姉ちゃん嬉しいよ!って今はともかく前は傘とかどーしてたの?」


最もらしい疑問だ


「21歳くらいまでは女の子が持ってたなぁ

みんなヒール履いてるから165cm以上になるんだよ。でも今考えたらヒール履かせて傘持たせてって…ひでぇよな」


一応酷いことをしていた自覚はあるらしい


「そのくせ甘えん坊な所は見せなかったって…木守くんのプライド変だよ…お姉ちゃんにはすぐ甘えてきたくせに」


木守は外に出る時はスーツに革靴だ

それに身長と体型もあって

俺様キャラを演じなくてはいけなかったのだろう


「この見た目で甘えられるかよ。姉ちゃんにはなんか甘えられたけどなー。包容力かな?」


真白は子供好きなのは知っているが

保育士が向いてるんじゃないかというくらい

世話好きで包容力がある


「お姉ちゃんにはそんな事分からないですよー。でも木守くん確かに見た目とのギャップはあるよね」


木守はカフェでコーヒーを飲んでいたら

旅行客の外国人にヤクザと間違えられて

えらく歓迎されたというエピソードがあるくらい

外見だけは厳つい

因みにヤクザでもなければ銃も刀も持ってない


「まぁ外見は昔ボクシングしてたのもあるかな。姉ちゃんもスポーツやってたからわかるでしょ?」


木守はある特定のスポーツに特化していて

その延長線でボクシングをしていただけで

スポーツ万能ではない

それに比べて真白はスポーツ万能である

スポーツテストオール5のような人だ


「お姉ちゃんはスポーツが好きだからね。見るのとかはあんまりだけど…身体動かすのは好きかな!50mのタイム木守くんより速いし!」


またにやりという顔で言う真白

木守が8,4秒で真白は7,6秒だ

真白はソフトボールとサッカーを

中高とやっていた

足は相当速かったらしい


「姉ちゃんより足も遅ければ、運動神経すらないよ…根っからのオタクでひきこもりの陰キャだからな」


何を隠そう木守は根っからのオタク

それは今も昔も変わらない

陰キャかどうかは本人次第だが…


「えっへん!それより来週デートしない?

お姉ちゃんがドライブ連れてってあげる!」


真白はMT免許持ちだ

木守は免許すら持ってない


「おーいいな。どこ行く?」


ぶっきらぼうに答える木守

元々デートプランなどは真白が考えている

つまり任せっきりという訳だ


「木守くん。温泉とかどう?神奈川に有名な所あるらしいんだよね」


真白のリサーチ能力はSNSなどを使ったものだが

最近の流行りに疎い木守にはかなり

助かってることでもある

そんな木守はSNSが苦手なようだが…


「温泉かぁ!それはあり!よし行こう」


温泉には乗り気の木守だ

そもそも整体とか温泉とかは好きなようだ


「車はレンタカーでいつもの所でいいよね。後は…またお姉ちゃんが色々調べておくね!」


レンタカーはいつも使ってる所がある

その他温泉以外の観光スポットも

調べてくれるらしい

これもいつもの事と言えばいつものことなのだが


「姉ちゃんいつもありがとうな…」


一応お礼はする木守

しかしいつもの事なので気にしない真白


「木守くんがデートプラン考えてくれたのって、最初の凄くいいホテルの時くらいじゃん!」


最初のすごくいいホテルは

五つ星ホテルでご飯も三ツ星レストランに

連れていくという木守らしくない

豪快なデートだった

しかも費用は全部木守が払った


「あの時は気合い入ってたからな。姉ちゃんにいいとこ見せたかったんだよ」


言い訳のように言う木守


「それで木守くんにお姉ちゃんは騙されちゃったってこと?」


不思議そうに聞く真白


「まぁ…結果的にはそういう事になるな」


不満そうに言う木守


「木守くんはまるで大泥棒だね!お姉ちゃんの心を盗んでいったんだから!」


ニコッと笑いながらそんなことを言う真白


「俺がルパン三世好きだからかー?上手いこと言うなぁ。姉ちゃんは…」


木守の好みに合わせたジョークには

1本取られたというしか無かった


「それに木守くん。2回目のデートの時のスーツ。ルパン三世みたいだったし!」


そうだったか?と記憶を辿る木守

そう言えば薄い青のスーツを着ていた記憶がある


「そういや、あの時バレンシアガのスーツだったわ。シャツまでは覚えてないけどなぁ」


木守のバレンシアガのスーツは

薄いブルーだ


「お姉ちゃんは木守くんに盗まれました!

責任取ってくださいよー?ふふ。なんてね」


ぷくっと膨れてふざけたように言う真白


「ルパンは盗んだ物は大切にするけどさ…それはちょっと笑えない冗談だぜ…姉ちゃん」


そう。木守は将来のことなど考えていない

いや考えたくないのだ

それが何故か真白に明かすのは

もう少し先になるだろう


「冗談ですよーだ。お姉ちゃんも木守くんのお世話だけじゃなくてお仕事忙しいんだからね?」


真白は大卒後専門学校に1年通い

この春晴れて新社会人になった

そして真白の仕事は医療関係

学校に行っただけあり国家資格も持ってる


「ったく、姉ちゃんは俺の世話して仕事して。タフだね全く」


口では正直なことを言わない木守だが

試験勉強で忙しい時も2人の時間を

ちゃんと作った上で合格した真白の事は

尊敬している


「どっかの引きこもりさんとは違って、お姉ちゃんはパワーあるんですよー」


えっへんといった感じの真白

どこかの引きこもりというのはもちろん

木守のことだ


そんなほのぼのした2人の日常

でこぼこながらもマイペースに進む毎日

それが心地よい木守だった

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