自分探しの旅

なる民

第1話状態を決定するのは君である、君がそう仮定すれば、 状態は決定する。



何故僕はあの日急に

眠ってしまったのだろう、

あんなに綺麗な夜明けだったのに...

青く、澄み切っていた、

しかし、朝日によって影に染められた

鉄塔は、異様な程に風景に成りきっていた。


僕は何故あの日あの場所で起きたのだろう

あんなに違和感の残る夜は初めてだった...

腕時計はちょうど日の境を示していた...

だが、幾ら待とうと太陽は沈まず、

辺りは暖かく照らされていた。

恐らく、僕は眠るように死んだのだろう...

僕は雪という物が好きだ。

雪が降った日には、

よく庭で仰向けに大の字で放心状態に

入っていた、だんだん自分を覆っていく

雪が、暖かく感じられた。

そんな謎の没入感に、僕は何故か涙を流し...

眠り、死んだのだろう...

しかし、今生きている、

こんな話がある、「生」という字は、

「き」「なま」「せい」「しょう」

など様々な読み方があるが、

「死」という字は一つしか読み方が

存在しない。

これは、死ぬまでの過程という物は、

皆違えど、行き着く先は皆同じ、という事を

揶揄していると言えるだろう。

しかし僕は、その常識、又は理を超越して、

平々凡々としたステータスとボルシチ食ってそうな帽子をかぶり、僕はシベリアで大地の雪を踏みしめて歩くのだった。空気は凍りつき、息を吐けば白い吐息が出る。異様な程に白く、いつまで歩いても変わり映えも無い景色が、まさにここはシベリアだという事を物語っている。

これは僕の、


自分探しの旅だ。

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