4. ナディア スパイの日常
私は、戦闘機を飛ばしていた時の衛星写真を執念で見ていた。
そう、三人の子供たちを見かけた時の同時刻の緯度と経度に焦点を当てて、衛星写真を熱心に見ていた。しばらくの間は、努力のかいもなく、私は何も発見することはできなかった。
しかし、私はついに見つけたのだ。あの時の未確認飛行物体を。
それは、ばっちり衛星写真に映っていた。
つまり、結論としては、目の錯覚でもなんでもなかったということだ。私は人生で初めて未確認飛行物体を見たことになるのだ。私は最強かもしれないが、未だかつて未確認飛行物体を目にしたことはなかった。
そして、いくら考えても、その未確認飛行物体がどこに飛んで行ったのかは謎だった。
衛星写真から未確認飛行物体を見つけた経緯は、こういうことだった。
その日、実は私はドバイに行っていた。
私は、とある国の問題の人物を追っていた。例のアフリカの友人を殺した犯人が、殺される前に会っていた人物だ。犯人の踵に向かってミサイル発射の準備はできていたが、罪なき人を巻き込むわけには行かず、犯人が一人きりになるチャンスを狙う必要があった。
さらに合わせて、犯人の共犯者も一網打尽にする必要があった。至近距離まで近づくなら、私は空手と柔道の有段者なので、訳なく相手を殺すことができる。しかし、正直に言うと、汚れた人物を処罰するために自分の手を汚すのはまっぴらごめんだった。
私は正攻法で相手を陥れる必要があった。
というわけで、私はドバイの超高層ホテルの一室に忍び込み、犯人の共犯者の持ち物を調べていた。一人の護衛に見つかったので、空手の突きを食らわせて、柔道の投げ技で投げ飛ばしたあとだった。護衛は床に伸びていた。弁解させてもらうが、彼は死んではいない。
共犯者が持っているニューヨークの家を突き止め、いくつか重要な事を知り、私はすぐにドバイの一室から何くわぬ顔で出て、変装してホテルの外に出た。
そして、プライベートジェット機で帰路に着いた。
プライベートジェット機の中で、すぐに衛星写真をチェックした。共犯者が持っている過去2ヶ月分のニューヨークの家の写真を全てチェックした。
そして、偶然にも、ついに、見つけたのだ。ニューヨークのある通りで、私が戦闘機に乗っている時に見かけた未確認飛行物体が止まっているのを。そして、四人の子供たちがその近くいるのを発見した。
一人は、燃えるような赤い髪をした十代前半の男の子、一人はブルネットの髪を三つ編みにした十代前半の女の子、そしてもう一人は十代にもなっていない金髪の男の子だった。この三人は質素な短パンとシャツを着ていて、かなりみすぼらしい格好をしていた。
三人の隣に、褐色の肌に黒い髪のやはり十代前半の女の子がいて、彼女だけハイブランドの服を着ているように見えた。
私はプライベートジェット機の中で、ウィスキーのロックを飲みながら、未確認飛行物体と四人の子供たちの写真をずっと見つめていた。謎だらけだった。
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