堕チタ騎士の物語
聖羅
第1話
「何故…私のアリアが殺されなければいけなかったんだ!!彼女さえいれば私はそれで良いのに!!私は力と彼女以外強く求めた事は無い!!」
「それは違うだろうレイン騎士団長…貴方は私の主の求めに応じなかった…ただそれだけだ」
「ふざけるな!!それだけの理由で人を殺すのか!!お前の主いやあいつは人の皮を被った化け物だ!!」
「…そうか君は私の主を侮辱するのか…君はそんな人だとは思ってなかったよ」
「上等だ…お前を倒した後お前の主も殺ってやるよ」
「始めようか…殺し合いを!!」
急に頭が冴える…
何故私は彼と敵対しなければいけなくなったんだ…それだけが最後の悩みだろう
私はただ命令されただけなのだ…ただ謝ることしか出来ない
でも私が彼女を殺したわけではない!!
時はあの時間に戻る…
「私はレインこれから王国の騎士団長を務めることになる…どうかよろしく」
「こちらこそレイン騎士団長」
ふたりで練習に励んできたあの頃に……
私はレイン王国騎士団長を務めているそして彼じゃシュアとは公爵の筆頭護衛騎士と王国騎士団長として仲が良くいつも訓練をしていたが…
「は?…今何とおっしゃいましたか?」
「だから~貴方は私と結婚しなさい!!これは命令よ!!」
「お嬢様!!貴方は何を言っているのか分かってますか?」
「分かってるわよ!!その上で言っているの!!」
「駄目ですよ!!お嬢様これは報告させて頂きますね」
「止めなさいジャシュア…良いわね?」
「……はい」
「…と言うわけだから私の夫になりなさい!!良いわね?」
「いや良くないです!!何故私が貴方の夫にならなければいけないんですか!!私には好きな人もいます!!」
「へぇ~それは平民なの?私は貴族の娘よ?しかも長女…これの意味は貴方にも分かるはずよ」
「確かに貴方の家系の事は多少理解は有りますが、それでも貴方に決められて結婚相手を選ぶのは間違っています!!」
「へぇ~貴方は私に歯向かうの?公爵家の長女である私に?」
「圧力をかけるつもりですか?私は屈しませんよ?」
「一騎士団長である貴方は私に逆らわず従いなさいよ!!」
「お嬢様!!駄目です許されませんよ!!私が言わなくてもお父様の耳に入りますよ!?」
「貴方は黙ってなさいジャシュア!!これは私とレインの話なのよ」
「そもそもお父様に言われているでしょう!!公爵家のイーリス様と結婚すると」
公爵家のイーリス様は私が騎士になる際に多くの支援をしてくれて今でも何度か足を運ぶ家だ…
「イーリス?あぁあのいけすかない奴でしょ?私大嫌いだから絶対に結婚しないわ!!」
確かに彼はちょっと変わっているところはあるものの、やさしい性格で私の事を何度も励ましてくれた人だ…それをこの女馬鹿にしやがって!!
「すいませんが私の事を馬鹿にしても良いですが、彼女の事やイーリス様の事を馬鹿にするような人とは話もしたくありません!!帰ってください!!」
「シアン様いい加減にしてください!!彼はイーリス様に多大な恩が有るのですよ!!貴方も恩師を馬鹿にされたらどう思いますか?私は少なくとも怒りを覚えますよ!!」
「うるさいわね…貴方はいつ私にそんな事を言えるような立場になったのかしら?あの時私が拾わなければもうこの世界には居なかったのかもしれないのに!!」
「彼の事をそう言う風に言うのは止めてくれ!!過去に何があったのかは分からないがそれは貴方の事を思って言ったことですよ!!」
「貴方も貴方なのよレイン!!私に従って結婚すれば良かったのよ!!」
「何故ですか!!何故私にそこまで固執するのですか!!」
「それは…」
「何故つまるんですかそこで悩むのはおかしいでしょう!!私に結婚を申し入れているのなら普通答えられるでしょう?私はもう帰らせて頂きます!!」
そうして私は用意されていた個室を出て家に帰る準備を始めた…
「何で私の言うことを聞かないのよ!!公爵令嬢よ!!それも長女!!私の家系を理解しているならそれがどれだけ良いか分からないの?」
私の名前はシアン正確には前世の記憶が有る公爵令嬢よ
前世の記憶では私は孤児で騎士団長は兄のような存在だった…
その記憶の中では私がお腹を空かしていると何時も自分の分を分けてくれたわ
それも自分は殆ど食べずに…私や他の孤児にも分けていた覚えがあるわ…
けれど事件は起こったの…彼は突如倒れてしまったわ
全員で彼を教会に連れていき治して貰うように必死に頼んだわ…けど駄目だった
そこの神父は金にがめつく、金が無い人は治療を受けることが出来なかった…
彼は私達の心の支えのような人だったの…だから彼が亡くなってから私も体調が悪くなったりすることが多くなったし、他の子もどんどん亡くなっていったわ…
私は幸か不幸か他の子が倒れてもなにもすることが出来なかった…
皆は私の事を見捨てず何もかも手伝ってくれた…それなのに…
他の子は全員亡くなってしまった…彼らの最後の言葉は今でも忘れられない
「もっと生きたい…」「何で私達だけ…」
「お金さえあれば…」「助けてよ…」
私の心は限界だったのかもしれない…彼等の最後を看取ったら私も亡くなってしまったらしい…
私の兄とも言える彼の最後の言葉は「泣かないで…皆強く生きて」だった
「…だからなのかもしれないわね…多少強引にでも彼がそばにいて欲しいからなのかも…」
「何か言いましたか?お嬢様?」
「何でもないわ…それよりも帰りましょう」
「かしこまりました…」
いつからだろうかお嬢様がこんな性格になってしまったのは……私が知る限り彼と会ってから変わってしまったような気もする
それまでのお嬢様は慈愛に満ちあふれ私たち末端の騎士にさえも言葉をかけてくれるような優しいお方だった
戦争になることはなかったがそれに備えて鍛錬をしている中で優しくしてくれるお嬢様は私たちにとって救いも同然だっただろう…
けれど彼現王国騎士団長と出会ってから変わってしまったこれはもう確信に近いだろう…
彼は私たちのような騎士にも優しい真に正しい騎士だろうそれだから公爵家のイーリス様も支援を決定したのだろう……
彼が言っていることは正しくお嬢様の言っていることは正しくない……がそれでも私にはお嬢様に返しきれない恩があるのもまた事実……
私は孤児だったのだ…道に倒れてだれもがこちらを冷たい眼で見てきたそんな中でただ一人救ってくれたのがお嬢様だった
当主からの反対も押し切り私のことを騎士に推薦してくれて最終的にはここまで来ることが出来た
だからだろうか…私は正常な判断が出来ていないような気がする
しかしこれは当主には言わなければならないことだ絶対に……
コンコン
「だれだ?ジャシュアか?」
「はいその通りです」
「そう堅くならないでくれ…しかし君が一体何のようだい?」
「実はお嬢様には口止めされていたのですが伝えておいた方がいいかと思い報告に来ました」
「そうか…報告してくれ」
「本日お嬢様は現騎士団長に結婚の申し入れをしました」
「は?…いや続けてくれ」
「しかし…まぁ当然ですが断られてその際に結構頭にきていたようで…何をするか分からないので気を付けた方がいいかと」
「はぁ~頭が痛いなぜあの子はここまで変わってしまったのか…」
「……分かりませんお嬢様に聞くしか…」
「とりあえず了解した一応私からも聞いて見るとしよう」
「ついにこれを手に入れることが出来たわ…これで彼を…ふふ」
「お嬢様!!なにを手に持っているのですか」
「あぁジャシュアですか…」
「そんなものを持っていったい何をするつもりですか」
「ジャシュアこの魔道具何か分かるかしら?」
「は?魔道具とは何でしょうか?」
「魔道具って言うのはね魔法って言う力をこめた道具のことを指すわ」
「なんですか?その魔道具っていうのは結局?」
「そうねぇ簡単にまとめると魔力っていう常識外のものがこめられていると考えればいいわ」
「そうですか…」
「まぁ座りなさい…お茶でも飲みましょう」
すると部屋の外からメイドが入ってくるしかしその目は何かおかしい気がする……
「お嬢様?彼女に何かしましたか?」
「は?何もしてないわよ」
「そうです騎士様私は何もされてませんよ」
「いや…しかし」
「とりあえずお茶でも飲んで落ち着きなさい」
「そうですね…ではいただきます」
飲んでから数十秒後異変が訪れる
「…ぐ!!」
「効いてきたようね…」
「私に何をしたのですかお嬢様!!」
「あなたにはこれをはめてもらうわ」
「なんですか…その悪趣味な首輪のようなものは!!」
「実際首輪よ…まぁばれないようにも出来るけど」
動けない私にお嬢様は近づいてくる
「この首輪を付けて私の命令を素直に聞きなさい?いいわね?」
意識が遠のいていく中最後に私は問いかける
「何故…こんなことを」
「すべてはあの人の為よ…歪んでるとか言われるかもしれないけどこれが確実だから…」
その言葉を最後に意識を失った…
「…ご命令を」
本当は私だってこんなことをしたいわけじゃない!!でも求めてきたものが抑さえられないような……そんな気がする
「とりあえず私の配下を使って騎士団長の好きな人を調べなさい」
普通はこんなことを命令しても無駄だが私の配下には金さえもらえれば何でもする奴らがいる……そいつらを使えばいい
「かしこまりました」
「お嬢様およびですかい?」
「えぇ仕事よ」
「今回はなんですかい?」
「今の騎士団長は知ってるでしょう?」
「えぇ知ってますよそれが何か?」
「それがね彼には好きな人がいるらしいのよ」
「へぇ~あの騎士団長様にもいるんですね」
「そいつを特定してきなさい」
「分かりました…ですがこいつはいただきますよ」
そう言うので執事に金貨を渡させる
「では受託しましたなるべく早く結果をお持ちします」
「よろしく頼むわ」
「お前ら良いかこれは騎士団長をどうこうすることが出来る最高の機会だ!!徹底的にやるぞ」
部下は俺の命令を聞き動き出す
数日後…
「隊長見つけました」
「どこだった?」
「既に向かわせてあります」
そう言うので辺りを見回す何か不味い気がする
「どいつが行ったんだ?」
「え~とグレンにザインですね」
「何で勝手に行ってんだ?」
「これは暗殺か捕縛ではないのですか?」
「馬鹿やろう!!何を言ってるんだこれは調べるだけだ!!下手なことは止めて今すぐにでもこっちに戻らせろ!!」
「分かりました!!今すぐに!!」
俺は全力で教えて貰ったところに駆け出した
「貴方達誰ですか!!勝手に家の中に入ってきて!!」
「お嬢さん残念だったねぇ貴方はここで死ぬんだ」
「そうだよ~君はここで死んじゃうんだ…他の奴みたいにあんなことやこんなことはしない…それは約束しよう」
「それは俺も約束してやるよ…あれはおかしいからな」
「そうですか」
「というわけだ…さっさと死んでくれ」
「私の事はどうでも良いですが彼だけは…彼だけには手を出さないで」
「大丈夫だ…そこは俺らは関われないから安心してくれや」
そうして俺は剣を女に振るった
刃は簡単に彼女の体を裂きその場に血だまりを作った
「お前ら何をしてる!!」
「何って暗殺ですよね…てか何でボスがいるんすか?」
「これは暗殺じゃ無い…これは調査だけだ!!」
「えっ」
「こうなってしまった以上もうどうにも出来ない…俺は報告しておく」
「はい…」
そうして報告に向かった…
「え…殺しちゃったの?」
「その通りです…私の伝達がうまくいってなかったようで…」
「そう…」
「どうするんですか?この事案は?」
「そうねぇ私の方で何とかするわ…貴方達も何時も通りに」
「分かりました…ですが今回はミスと言うことで返金させてもらいやす」
「分かったわ…そこにおいといて」
彼等が出てった後ため息をつく
「これどう対処しようかしら…」
「そうだ…ジャシュア来なさい」
「何でしょうか…」
「貴方に命令するわ…この場所の近くにたってなさい…なるべくばれないように」
「分かりました…」
彼は歩いていくこれからどうなるかも知らずに…
「ごめんね…私が彼を愛してるから貴方達には苦労をかけてるよね…」
これは本心だろう…ただ私が悪いのだ彼を好きになってしまった私が…
そうして時は戻る
ジャシュアはレインが帰ってきた際に近くにいたことから激昂したレインによって疑われ戦闘が始まり何人もの人が巻き込まれた
タイミング悪く魔道具の効果が切れた事が更に物語を混乱させていく
彼が愛していた者はもう戻らない…彼はもう止まることは出来ない…
アリアの事を殺した犯人を又その主犯を…彼が許すことはないだろう
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
好評だったらまた書かせて頂きます
よろしくお願いいたします!!
帰ってきた高校生~現実でも無双します!!
https://kakuyomu.jp/works/16817330653647126404/episodes/16817330653647411874
堕チタ騎士の物語 聖羅 @kce65895
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