第10話 部活の合宿は俺の家?
「誤解なんです。あれはたまたまで」
「みっちー、状況をみんなに教えて」
杏子先生が未知さんに促す。
「この男が私のカバンから下着を盗み出し
それを見て楽しんでいるところを私が
発見しました。変態です」
未知はたんたんと低い声で説明をする。
「工藤さん、誤解を生む言い方をしないで。
くるみ、違う、違うんだ。いままで
Tバックを見たことがなくて初めて見る
Tバックに見とれていたんだ」
「じょうくん、工藤さんが言ったこと
そのままだよ。それ」
くるみが真顔で答える。
「あっ〜!違う。部室で寝ようとして机を
動かしたら工藤さんのカバンが落ちて、
そのときにカバンの中からTバックが
出てきて、何かわからなくて手に取った
ところ工藤さんが現れたんだ」
俺はテンパって続け様に下手くそな説明をした。
「いえ、手に取ったところではなく拡げて
眺めてました。変態です」
未知さんは変態の部分を強調して言う。
「いや、最近Tバックが気になってたから急に
実物が現れたからびっくりして止まって
しまったんだ」
「じょうくん、性癖カミングアウトしてるよ?」
くるみは真顔のままだ。
「性癖じゃない。この前Tバックの女性と話す
機会があったから気になってしまった
だけだ」
「じょうくん、どうしてそんな機会があったの?」
くるみはまだまだ真顔だ。
「いや、それはたまたま………
話せば話すほど誤解されていく………」
「結論、藍原くんはTバックが好きということね」
杏子先生がまとめる。
「じょうくん、言ってくれたら私が履いてあげたのに」
くるみはここで表情を一気に変えた。
じょうくんのことわかってあげられてなくてごめんねという表情で申し訳なさそうに話す。
(くるみは気にしなくていいんだー)
心の中で精一杯あやまる。
「もういいです。俺が悪いです。
どうにでもしてください」
俺は大きくため息をついて諦めた。
「藍原くんも認めてくれたようね。
では罰として部に貢献していただきましょう」
「へいへい、次はなんの約束をすればいいのでしょうか?」
おれはもう、どうにでもなれと思っている。
「もうすぐ春休みです。そこで部活の合宿を
行います。1泊2日でお泊まり旅行に
行きましょー」
「先生、、、最後に『旅行』って言い切って
ますよ。完全に部活を利用した
プライベートの遊びじゃないですか」
おれがすかさず突っ込む。
「せっかく部員数が3倍になったんだから
まずはお互いのことを深く理解し合いま
しょう。だから旅行がベストなんです」
俺は少し呆れ顔をしてしまう。
くるみはちょっと嬉しそうな顔をしている。
未知さんは表情が変わらない。
「先生、ごめん。おれは不参加で。
妹と2人暮らしで妹置いて泊まりは
無理なんだ」
「そんなことぐらい想定済みです。
発表します!ドロロローン、ジャン!
旅行先は藍原くん家です」
「はっ?」
「だから、藍原くん家に泊まりに行きまーす」
「いやいや、妹もいるし」
「一軒家に2人暮らし、部屋は空いているはず、
そうでしょ?くるみちゃん」
「はい、たしかに空いてますね」
「先生、それは無茶振りですよぉ」
「あれー?どうにでもしてって言った
じゃない。男に二言があるのかしら。
それともみっちーにあの事件のこと
言いふらしてもらおうかしら」
「ぐっ……… もう好きにしてください」
「よろしい。では冬休みに懇親合宿をして
来年度からは部活動をみんなで
頑張りましょう」
そしてはじめての部活動は終わったのだった。
……………………………
俺は変わらずあの公園に通い続けた。
毎日毎日シルさんの影を追いかけ続けた。
冬休みに入っても通い続けた。
夜だけだなく昼にも行ってみた。
それでもシルさんに出会うことはなかった。
冬休みに5日目、お昼にあの公園に行った。
帰りは自宅ではなく繁華街の方へ足を運んだ。
理由は街中の方がシルさんに会う確率が
高いような気がしたからだ。
シルさんがいたお店の近くも立ち寄る。
駅の改札口の前を通ろうとすると...
「あっ、工藤さん!」
そこには未知さんがいた。
……………………………
あとがき
第10話までお読みいただき
ありがとうございます♪
ここまで読んでいただけた読者の皆さん、
お願いがあります。
はじめて知りましたが『☆レビュー1つ』でもあれば次の日の注目作品にアップされるみたいです。
毎日☆1を頂くことが大切だと知りました。
お手数ですが
『☆1つ』でいいので押していただけると助かります。
よろしくお願いします(*゚▽゚)ノ
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