第368話 クリスタル・ミストーガジェット

 桜も散り、段々と温かく……というか日中は汗ばむこともあるこの頃、

皆さんいかがお過ごしでしょうか。


 私は先週後半から仕事が異様に忙しく、中々読み書きする時間が取れない状況でした。

 先週は一応4600字書けてますけど、今週は……

 身体を使う仕事と頭を使う仕事が同時に入ると、中々きついですね。

 今日の新幹線内でどれだけ書けるかの勝負だったりします。


 そんな状況でも、ふとした時にネタは思いつくもの。

 身体を使う仕事の方をしていた時にふと思い出したのが

「水晶は発がん性物質の塊」だということ。

 といっても、普通に宝飾品とかパワーストーンだとかで売られている水晶を避ける必要はないんですけどね。

 触っても、長時間身につけてても大丈夫です。砕いた粉末を吸引しなければ。


 水晶を砕くと、細かく尖った粉になります。

 これを吸い込んでしまうと、いつまでも肺の中に残り、チクチク周りを傷つけ続けるんですね。

 その再生のために肺の中の細胞分裂が活発になりすぎてガン化する率が上がる、という仕組みだそうで。

 理論的には水晶でなくても、水に溶けない尖った硬い粉末なら起こりそう。


 綺麗な水晶をわざわざ砕いて吸い込む人はあまりいないでしょうけれど、水晶の成分である石英はそこら辺の石にも良く入っているわけで。

 鉄道の敷石を瓶詰にして、お守りとして販売したら「発がん性物質が入っている」として回収騒ぎになった、なんて事例を新聞で読んだ覚えがあります。開けて吸わなきゃ平気なんですけどねー。

 私のお仕事では、岩から抽出した石英を砕いた粉を使う事があるので、これは本当に吸うとまずいのです。ちゃんとマスクして作業しますけどね。


 で、そんなところでふと思い出したのが『スレイヤーズ』。

 あの世界の回復魔法は2種類あるのですけど、下位のほうの治癒リカバリィの魔法だと、かけられた人の体力を削って生命活動を活性化させて傷を治すという仕組みなのです。

 なので、重傷すぎると治せなかったり、風邪の人にうっかりかけると風邪のウィルスが活性化して重症化させちゃったりというデメリットがあるという設定。

 これを、水晶の粉を吸わせた後でかけると、たちまち肺がんになってしまうのではと思ったわけです。

 『スレイヤーズ』世界に限らずとも、現実生物と同じように細胞で形成された生き物に対してであれば、それに回復魔法をかけるというのは細胞分裂を活性化させているはず。ガン化のメカニズム自体は世界が違ってもある程度通用しそうです。

 ある種の回復魔法封じですね。


「妙にキラキラした粉を吹き付けて来たけど、それ以外はなんという事のない雑魚だったなぁ」

 なんて楽勝気分の冒険者たち。

「ちょっとケガしてただろ、治しとくぞ」

「ああ、頼む……ぐはっ」

 ってな感じで、戦闘後に回復してるところで突然倒れる症例が何度か起こったら、冒険者業界がパニックになりそうです。

 最初は理屈が分からないから、回復魔法自体を避ける、回復魔法が必要になる事態を避けるためにそもそも冒険に出ないという動きが出るはず。

 理屈が分かっても、水晶粉を吸い込んだ人は回復魔法を受けるたびにガン化のリスクがあることは変わらないのでほぼ引退状態。

 粉の吸引を避けるために冒険者はマスク着用が必須になりますが、どの程度のマスクを作れるか。作れたとしても、カット率のいいマスクは息を吸うのにも邪魔になるわけで、戦士らの運動能力を削ぎ、魔法使いの呪文詠唱の妨げにもなります。


 え、モンスター側はどうするのかって? 使い捨てにしてもいい程度の連中に使わせるか、そもそも呼吸していないとかで解決ですね。

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