第319話 爆笑卒業式ーストーリー

 さて、遂にバレンタインデー本番ですね。バレンタインデーといえば卒業式です。

 高校3年の2月の学年便りのカレンダーに

「2月14日 バレンタインデー 卒業式」

 と書かれていたことは今もはっきりと覚えています。バレンタイン優先なんすか先生(笑)


 ちょっと真面目に説明しておくと、私立の進学校なので

「卒業式後は学校に来ても来なくてもいいから、入試直前の追い込みに集中してね」

 という学校側の思いやりなのです。

 私も片道1時間以上かけての通学でしたからね。2時間以上勉強時間が増えると考えれば有効な手段。

 それを2月の半ばだからと14日に合わせるところに何かを感じなくはないですが(笑)


 そして、我が母校の卒業式は爆笑の渦に包まれるのが伝統です。

 式次第はごく普通で、校長と理事長のお話や卒業証書の授与など。在校生から卒業生への送辞まではごく一般的な卒業式と同じです。

 ……厳密に言うと、卒業生入場の時点でたまに変なのが紛れ込みますが。なぜか平安貴族のごとく狩衣着てくる奴がいたりとか。

 本格的にはじけるのはその後、卒業生からの答辞の時。

 中高一貫6年間指導をしてくださった先生方に感謝する……という形をとりつつ、先生方の6年間のドジっぷりをいじっていくのです。

 英語教師が修学旅行先のハワイで「紅茶プリーズ」と注文したこととか、数学教師主導で植えたシイタケが3年たっても収穫できなかった事とか。


 卒業生や教師陣、2回目の参加となる高校2年生は遠慮なく爆笑。

 初めての参加である父兄と高校1年生は、最初は笑っていいものか戸惑うものの、やがては笑いの渦に巻き込まれていきます。


 式の後に親に最初にかけられた言葉は

「毎年ああなの?」

 でしたからね。ええ、もちろん毎年ああなんです。

 高校1年生たちも先輩に同じ質問をして、

「我々の年もしっかり笑いを取れるように今からネタを収集しておかないと」

 と自発的に伝統を継ぐことを誓います。

 ……お笑いの専門学校の話みたいですね。


 今も伝統はしっかり受け継がれてるのかなーと少し調べたら、Youtubeに動画が上がっていたり、校長が雑誌のインタビューに「最近はバレンタインだからって卒業生入場時にチョコを撒くやつがいる」という証言をしていたり。

 うむ、しっかり健在のようで何よりです。


 卒業式と言えば感動やら惜別やらで涙を流すのが一般的ですが、

「泣いた? ああ、笑いすぎてね」

 となるような卒業式もいいもんですよ。

 学校ものを書く時には、そういう卒業式を書きたいなと思います。

 でも、私は大学の卒業式もそういう系統だったから、一般的な卒業式にはあんまり縁がない事に……(笑)

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