第2話 奇跡なんて起きはしない-フレーズ、世界設定

 四月は日本人にとって変化の多い季節です。

 明日から新しい職場って人も多いんじゃないでしょうか。入学式だともう少し先なんですけどね。

 それはさておき、創作でも変化って大事だと思います。

 唐突ですが天羅万象というTRPGシステムが好きです。何がいいかというと、変わり続ける事の大切さがシステムで表現されているところですね。

 専門用語を除いてざっくり言うと、思い入れが強いほど活躍できる世界なんですが、思い入れが強くなりすぎて変われなくなると、物語の主人公からは外されてしまいます。

 いなくなるわけではなく、主人公の障害になる方の人になってしまいます。他の創作物全般でみても、『目的に対する意識が強すぎて他の迷惑を考えなくなってしまった人』ってのは往々にして敵側ですから、その再現とも言えますね。


 知り合いの物書きに、単品の短編を書いても長編の第一話だと思われてしまう人がいます。

 私の考えでは、これはキャラの変化が足りないのが原因。読者からすると、どんなキャラかはわかったけど、キャラの変化がない=物語が始まってないと受け取られてるのです。


 長めの前置きになりましたが、要は何かが変化する所にこそ面白いストーリーがあるのです。

 今回のフレーズは、このフレーズ自体の意味を変化させたいなというもの。


 まず世界設定として、「自分が心から信じられる言葉を唱える事で小奇跡(=神様由来の魔法)が使える」というのが根本にきます。

 たいていの人は、聖典の一節を引きます。つまり現実世界風に言うと、神父や牧師が聖書の言葉を唱えると魔法が使えるようなイメージ。

 そうした世界で主人公は「奇跡なんて起きはしない」という言葉で魔法を使う。これは主人公が絶望しているから。

 初めは背教者扱いされたりと色々苦労しますが、理解してくれる戦友らのおかげで歪み切ることもなく力をつけ、戦果を上げていきます。

 そうしたうちに、他にも「奇跡なんて起きはしない」と唱える者達が現れます。主人公に救われたり、感銘を受けたりした彼らにとって、このフレーズは絶望ではなく、憧れに近づきたいと己を奮い立たせる言葉です。

 そうこうするうちに、主人公は突然魔法が使えなくなります。それは、主人公がもう「奇跡なんて起きはしない」と思っていないから。この戦友達となら奇跡だって起こせるかもしれない、そう思った時に主人公は力を失うのです。

 もう一度自分が心から信じられる言葉を探そうとした主人公が最後に行き着くのが、同じ「奇跡なんて起きはしない」という言葉。ただし、今度は絶望ではなく、戦友とのつながりを信じるという意味で。


 とまあ、ストーリーの美味しいとこは出来てるのですが、結構長い戦記ものを書かないと説得力が出ないのがネックとなってます。

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