永遠と一日だけ

ただのネコ

毎日更新1-100

第1話 永遠と一日だけ-いつか使いたいフレーズ

 まずは全体タイトルにも選んだこのフレーズ。

 岩波文庫のイングランド民話集で読んだ言葉です。

 ザッとネタバレ解説すると、


 ある村の夫婦に赤ちゃんが生まれました。赤ちゃんはとても可愛いかったのですが、夫婦は面倒くさがりなので赤ちゃんを汚いままにしていました。

 ある日、突然赤ちゃんがいなくなり、夫婦が必死になって探した結果、最後には村外れの森で赤ちゃんを見つけました。しかし、見つかった赤ちゃんはキレイに洗われ、新しい服まで着せられていました。

 どういうことかと首をひねる夫婦に、歌が聴こえてきます。

 歌を歌っているのは妖精で、彼らが汚い赤ちゃんを見つけて、森に連れ帰ってキレイにしてあげたのです。そして、今回は必死に探してたから返してあげるけど、今度赤ちゃんを見に行った時に汚くしていたら、また森に連れ帰ってしまうよと夫婦を脅します。

 この二度目の赤ちゃんを森に連れ帰る期間が『永遠と一日だけ』。


 要は、もう返さないということなんですが、永遠だけで意味は通じるのにそこに一日が足される。その付け足しの不思議さにファンタジー味を感じたことを覚えています。


 いつかは、『永遠』にも『一日』にもちゃんと意味がある形で使いたいなーと思ってるんですが、なかなか思いつかないですね。


 なお、なんで『一日』が付け足されるかは大体推測できてます。

 実は、同じ民話集の別の話で、『一年と一日』の契約で出稼ぎに行く農夫の話があるんですね。つまり、4月1日から一年働いてもらう時に、きっかり一年だと3月31日で終わりになるはずです。しかし、

「オラは4月1日から働き始めたから、一日引くと……ええと、3月は何日までだっけ?」

みたいな事になるよりは

「一年と一日の契約だから、来年の4月1日でおしまいだな」

の方がわかりやすかったのでしょう。

 契約期間として『○年と一日』という表現が普通に使われる慣習だから、○年が永遠になっても『一日』が残った、のだろうという推測です。

 機会があったら、これで正解かをイングランドの民俗史に詳しい人に聞いてみたいなぁ。


 さて、せっかくなのでこのエッセイも『一年と一日』の間だけ毎日更新したいなと思います。

 出来なかったら、エイプリル・フールの嘘だったって事で許してください(笑)

 ……ん、もし出来てしまったら、私はエイプリル・フールに本当のことを言ってしまったホント吐きになるのか?


 ただのネコがホント吐きになるまで、後365日……

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