ダブルチェックで勝つ方法

宮野 智羽

第1章

プロローグ

「はい、チェックメイト」


暖かな光が差し込むお城の庭園にコツと駒を置く音が響いた。

目の前には悔しそうな表情の男性が1人、天を仰いで唸っている。


「また負けた…」

「これで私の16連勝ですね」

「…やはり強いな」

「伊達に鍛えてませんから」


そう言って笑えば、黒髪で端正な顔をした彼は眉に皺を寄せる。

その表情さえも整っており、世の女性が彼に好意を抱くのを理解できた。


「さて、では今日のお願いは何にしましょうか」

「ここまで勝ち続けては望むものも無くなるだろう」

「そんな、とんでもない!この世の全てを知り尽くしても私の知識欲の底は見えませんよ」


冗談交じりにそう言ってのければ、彼はげんなりとした顔をするのだった。

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