木内の詩

木内一命

いつの間にか

あ、時計が止まっています。しかし真実を見ている気はしません。本当に値打ちがあればすぐに売人が来るはずなのに。世界はあっという間に急かされて、咳をしながら進んでいるのですね。口元を手で隠して秘密の話をしています。それだけだと不十分だから、ふたりだけの符丁を使いましょう。きっと恋人同士みたいに見えるかもしれませんが、ちっとも問題はありません。割って入る隙がないくらい近づけばいい。お互い正直者ですから、ついときめきが伝わってしまうかもしれませんけど、面白いじゃないか。眠りたくなくなるくらいに幸せになりたいです。あ、朝になりました。

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