「トムとライラの道中記」打ち明け話

矢木羽研(やきうけん)

自作品を解説するという試み

 小説を書いてネット上などで公開している人はたくさんいる。また他の人が書いた小説を解説したり、レビューを書く人もたくさんいる。しかし、自分自身の書いた小説を解説する人は……?少なくとも、Web小説書きという人種の中では少数派だという印象がある。商業作家であれば後書きなどで、多かれ少なかれ自作品の解説を書く機会は多いとは思うのだが。


 私は、これまでR18作品(ほのぼのエッチ)を中心に短編を書いてきたが、それには必ず「作者による作品解説」を付けた。主に自分のためである。この作品はどのような意図で書いたのか、それが表現しきれたのか。自問自答しながら書き残すことで、今後の創作の肥やしにしているのである。


 自分のための解説であればストレージにでも眠らせておけばいいという方もいるだろうが、私としては「公開する」つまり「他の人が読むという前提で体裁を整える」というのは、思考整理の上で非常に重要だと考えている。そもそも小説にしてもイラストにしても、ただ創作するだけではなく「公開」というプロセスを経て初めて成長するとはよく言われる話である。それは、作品そのものに限らず、作品に対する客観的な視点も同様だろう。


 創作というのは、自分の心の中を露出するようなものである。その解説というのはいわば「種明かし」であり、場合によっては非常に恥ずかしい行為であるだろう。またパロディなどで「元ネタ」が存在する場合、それを明かすのは倫理的に問題があるケースもあるだろう。しかし私に関しては内心の暴露くらい何ともない程度には度胸がついてきたし、元ネタに関してはむしろ「読者が知らないほうが不都合」という例が多い。


 そういうわけで、作品について遠慮なく語っていこうと思う。基本的には本編を読んだ方向けだが、先にこちらを先に読んで本編に興味を持っていただくという方向でも構わない。解説したのは第何話のどの部分であるかは、なるべく具体的に書くようにした。

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