第4話

(ジャラジャラジャラ…ジャラジャラジャラ…)


時は、8月26日の夜8時頃であった。


ところ変わっては、今治城の南側の通りにあるマージャン店にて…


義弟は、庭瀬さんとひとりぐらしをしている男性ふたりと一緒にかけマージャンを楽しんでいた。


ユーセンのスピーカーからレーモンド松屋さんの歌で『サンセットラブ』が流れていた。


この時、庭瀬さんがたばこをくわえている義弟に声をかけた。


「おい、ひろあき…」

「ああ…」

「お前の番だよ…」


庭瀬さんは、義弟に番が来たぞと教えたあと心配そうな声で言うた。


「おい、お前どうしてまっすぐに家へ帰らないのだ?」

「どうしてって…」

「どうしてって…お前には、家族がいるのだろ。」

「家族…それはだれのことを言うのだよ?」

「だれって…お前のおかーさんとおとーさんとお兄さんとお兄さんのお嫁さんのことをいよんじゃ…」

「うざいのだよ…とくにおねえがうざいのだよ!!」

「なんでひどいことを言うんぞ?」

「オレは、まっすぐ家に帰る理由が分かんねえんだよ!!」

「お前は、晩ごはんのオコンダテをどうしようかと考えているおねえさんの気持ちが分からないのか…今夜は、サラダに入れる豚肉をいつもより多く増やしてあげようかな…今夜は冷たい雨が降るから温かい煮込みうどんをつくってあげようかな…」

「ますますはぐいたらしいんだよ!!まっすぐ家に帰れと言う言葉は頭に来るんだよ!!」

「だから、お前の家族たちはお前と一緒に晩ごはんを食べることを楽しみにしているのだよ。」

「家族はうざいのだよ!!おねえおねえって、繰り返して言うからイラつくのだよ!!」

「そんなにはぶてんでもええやん。」

「ふざけんなよ!!オレが結婚できない原因は、クソバカに全部あるんや!!」


義弟は、ジャンパーの内ポケットからメビウス(たばこ)の箱と電子ライターを取り出した。


義弟は、口にくわえているたばこに火をつけながらあいつとアタシの悪口を言いまくった。


おねえは…前の職場で付き合っていた人がいたけど…おやじとおふくろが婚約者の恋人の家へ出向いて、ジカダンパンに行った…『兄のために別れてくれぇ…』とあわれみを乞うた…絶対に許さない!!」

「ひろあき…お前の両親は、お兄さんがじっとガマンして待っていたからなんとかしてあげたい気持ちでいっぱいだったのだよ。」

クソバカが全部悪いのだよ!!」

「なんでそんなに怒るんぞ?」

「40過ぎても独り者でいたクソバカは自立できない大バカなんだよ!!」

「お兄さんが40過ぎても結婚できなかったのは…」

「ますますはぐいたらしいんだよ!!クソバカのせいでオレの人生はワヤになったのだ!!」

「お前は、そんなにお兄さんがキライなのか?」

「ああ、そうだよ!!クソバカを自立できないようにした沼隈も共犯者だ!!てめえの娘を置き去りにして、人さまの家の心配しよるけんなお悪いワ!!」

「ああ、オレ沼隈あのクソジジの娘のことを知ってるッス。」


この時、庭瀬さんのむかいに座っている25歳の男が手をあげて言うた。


義弟のとなりに座っている21歳の男が『なんだよ…教えろよ…』言うたので、25歳の男は沼隈さんの娘さんの悪いウワサをしゃべった。


「沼隈の娘は…共栄町のホストクラブの男といやたい関係を持っているみたいですよ~」

「それ、ホンマか?」

「ああ、ホンマにホンマにホンマや。」

「…だよな…人のことをやかましく言うんだけは一丁前のクセに、てめえの娘の結婚問題にはムカンシンだから話にならないよ〜」

「それと、沼隈のバカセガレもフーゾクに狂ったと言う話を聞きました〜」


すると21歳の男性が怒った声で言うた。


「オレ、沼隈のバカにうらみがあるんや…オレは、松山マッチャマの『ルーズソックス』(ファッションクラブ)の爆乳のきょうかちゃんが好きでいつも指名していた…けど、あの野郎が横からドロボウした!!」

「もしかして、沼隈のバカがきょうかちゃんを私物化していたって?」

「そうや!!今度あの野郎に会ったらしいヤツザキにしたるんや!!」

「おいお前ら、もうそれくらいにしとけ。」

「おっ、リーチだな…」


義弟は、リーチを宣言した。


つづいて、ふたりの男がリーチを宣言した。


このあと、25歳の男が『そら…キュウレンポウトウ!!』と叫んだ。


大負けした庭瀬さんは、ものすごく怒った声で『分かったよ…ほら…』と言いながら、負けた分の一万点棒5本をキュウレンポウトウを出した男に差し出した。


その時であった。


(ブーン!!ブーン!!ブーン!!)


この時、アタシの傷ついた乳房むねの奥から飛んできたうらみのスズメバチ3匹がやって来た。


3匹のスズメバチは、義弟とふたりの男をチクリと刺した。


(ジャラジャラジャラ…ジャラジャラジャラ…)


しかし、4人はそんなことはおかまいなしにかけマージャンを続けた。


この時、店内にものすごく恐ろしい女の声が聞こえた…


アタシのかわいいこどもたちに刺されたクソバカたちよ…


アタシにどぎつい暴力をふるったから、鉄拳制裁せいさいを受けてもらうわよ…


このあと、彼らは悲惨な末路をたどることになった。


ところ変わって、ドンドビ交差点の付近にある鳥メロ(居酒屋)にて…


時は、ラストオーダーの30分前のことであった。


義弟たち3人は、カウンターの席に座っていた。


となりの席には、20代のホストと女性客のカップルが座っていた。


この時、ホストの男が25歳の男がのんでいるアサヒスーパードライのビンに手を出した。


それが原因で、トラブルが発生した。


ホストと一緒にいた女性客は、こともあろうに沼隈さんの長女さん(35歳)だった。


「何するんだよ!!」

「なんだよ…のみてーんだよ…」

「ふざけるなクソガキャ!!」

「そんなにひどいことを言わなくてもいいじゃないかよ…」

「死ねや!!」


(ガシャーン!!ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)


この時、義弟はビール瓶でホストの頭を殴りつけたあと刃渡りのするどいナイフでズタズタに刺して殺した。


店内にいた客たちが恐ろしい悲鳴をあげた。


つづいて、3人は沼隈さんの長女さんをナイフでズタズタに刺して殺した。


さらにその上に、3人は店にいた客たちをナイフでりつけるなどして暴れた。


この時、店にいた客たち少なくとも8人が死亡した。


その後、3人は付近に止めていた銀色のステップワゴンを盗んで、逃走した。


3人が盗んだステップワゴンは、蛇行した状態で走行していた。


愛媛県警けんけいは、今治市内しないの主要幹線道路で緊急検問を実施した。


ところ変わって、片山の国道196号線と317号線の交差点にて…


交差点付近では、愛媛県警けんけいによる大規模な検問が行われていた。


この時であった。


3人が乗っているステップワゴンが蛇行しながら検問所へ向かって来た。


(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!)


3人が乗っているステップワゴンが検問所を強行突破した。


「追え!!追え!!」


(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー!!)


このあと、平成元年製のニッサンスカイラインの愛媛県警のパトカー20台と同じく平成元年製の黒のニッサンセドリックとニッサングロリアとニッサンセフィーロとニッサンマキシマのパトカー合わせて50台がけたたましいサイレンを鳴らしながら追跡を開始した。


追跡開始から10分後であった。


3人が乗っているステップワゴンは、国道317号線の南光坊の交差点を左折した後、今治北インターへ向かって走行した。


「コラー!!飲酒運転している3人のクソバカ!!止まれ!!止まれといよんのが聞こえないのか!?」


パトカーのスピーカーから、警察官の怒号が響いた。


ところ変わって、しまなみ海道の今治北インターにて…


3人が乗っているステップワゴンがETCレーンへ向かって突っ込んできた。


(グオーン!!バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキバキ!!)


3人が乗っているステップワゴンがETCのバーを壊したあと来島海峡大橋の本線に侵入した。


(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)


この時、来島海峡サービスエリアに待機していた平成元年製の黒のニッサンシーマのパトカー50台が本線に入った。


3人が乗っているステップワゴンは、来島海峡大橋を越えて大島南インターで降りた後、大島の島内のあちらこちらを逃げ回った。


それから3時間後であった。


3人が乗っているステップワゴンは、吉海町椋名よしうみちょうむくなの県道を走行していた。


県警のパトカーの追跡をふりきって逃げた3人は、下田水しただみの港付近にやって来た。


この時、彼らはマゼンタのヒュンダイソナタを運転しているサングラスの男に追われていた。


「急げよ!!」

「スピードが出ないんだよ!!」


3人は、ひどくあせっていた。


(キーッ!!)


2台の車両が港の駐車場で止まった。


この時、3人が乗っているステップワゴンがエンコした。


その時であった。


(ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!ズドーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!)


サングラスの男がより強い殺傷力を持つ猟銃ジュウで車内にいる3人を撃った。


「ヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…」

「助けてくれ〜」


3人は、ひどくおびえながら身を隠していた。


このあと、サングラスをかけた男が車に揮発油をかけた。


そして…


(ゴーッ…)


サングラスをかけた男が車に火を放った。


「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「助けてくれ〜」


3人は、車内で焼き殺された。


サングラスの男は、車に乗って足早に逃走した。


(ドカーン!!ゴーッ!!)


3人が乗っていたステップワゴンは、大爆発を起こしたあと激しい炎で焼き尽くした。


その一方で、娘さんが殺された知らせをケーサツから聞いた沼隈さんは、ひどくおたついていた。


沼隈さんは、大事な家族を亡くしたと言うことに早く気がついてよね!!

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