第8眠
――う~ん、むにゃむにゃ。
むにゃ?
……。
んん?
………………?
なんていうか目が覚めた。
自動で魔力を吸われる感覚が、どうにも気になってしょうがない。
いやまあ、別に気にならないと言えば、気にならない程度の小さな感覚なんだけどさ。
なんていうの?
普段は気にもならない空気清浄機の音が、一度気になりだすと、ず〜っと聞こえてきて全然眠れないヤツ。
そんな感じ。
だから、努めて気にしないようにしてたんだけど、どうもそれが逆効果だったみたいで、目が冴えてきたからいっそのこと起きることにしたんだ。
……ふぁ〜。
今、何時?
【鑑定結果】
主観時間で、就寝から約20時間が経過。
……あれ、なんか勝手に鑑定結果が表示された。
なんで?
まあ、便利だからいっか。
ああでも、こういうのって勝手に仕様が変わると困る時があるんだよね。
ほら、スマホやアプリとかのアップデートって、行われると色々と変わっちゃうでしょ?
今まで使えてた機能が使えなくなったり、ボタンの位置が変わって訳分かんなくなったり。
お願いだから『鑑定』はそうならないでね。
え~っと、それでなんだっけ?
……
……
……
あっそうそう、魔法の自動化だ。
ええ~どうしようかな~。
手動で1,000時間以上も魔法を使い続けるなんて論外だし、かといってこのままの状態で眠るのはなんか嫌。
う~ん、結局、俺以外から魔力の供給ができればいいんでしょ?
こういうのって、小説とかだと魔力を貯めておける魔石なんかが定番なんだろうけど……そもそも魔石って何よ?
いや、文字にするだけなら簡単だけどさ、見たこともない想像上の物質なんて、いくらチートがあるからって作れるもんなの?
……
……
……
……うん作れるね。
さすが神様謹製のチート、何でもありだ。
で、出来上がったのがこちらの魔石です。
大きさは手の平に乗るぐらいで、形はその辺に落ちているような石ころと同じ。
無色透明で意外と綺麗な感じがする。
例によって、初めの一個を創り出す時には変な違和感があったけど、二個目以降からはそういうのはなかった。
たぶん、初めて使う魔法なんかは、変な違和感を覚える仕様なんだと思う。
……知らんけど。
まあ、とにかくだ。
これで、魔力を貯めておける装置が出来上がった。
あとはこれに魔力を貯めてっと……
――パンッ!
……あっ。
一瞬で魔石が弾け飛んだ。
もう、見事なくらい木端微塵に。
魔力を込めた瞬間に魔石の容量が一杯になって、風船みたいに膨らんだと思ったら次の瞬間には爆発したって訳よ。
その間、なんとコンマ1秒以下。
俺じゃなかったら見逃しちゃってたね。
うん、まあなんというか、爆発の原因は魔石の容量不足。
そりゃそうだよね、なんていうか普通サイズ?の魔石に、地球を丸ごと生み出すような魔力を込められるわけないわ。
一兆トンの土を生み出す魔力にだって耐えられるとも思えないんだから、魔石が一秒も持たないのも当たり前だ。
弾けて当然、当然。
う〜ん……だったらそう、地球を生み出せる程の容量を持つ魔石を作ればどうだろう?
無ければ作ればいいじゃない、チートがあるんだから。
【鑑定結果】
作成のためには、主観時間で約1,659時間(69日)が必要。
……あっ、はい。
完全に無意味ってことですね、ありがとうございます。
【鑑定結果】
魔石に魔力を充填させるために、主観時間で約1,659時間(69日)が必要。
……あっ、はい。
作るのと充填させるので、合わせて二倍の時間がかかるってことですね、ありがとうございます。
むむむ、これは困ったぞ。
魔石を作るのは良案だと思ったのに、こんなんじゃ全然ダメだ。
何にしても、俺以外から魔力の供給をできるようにしないといけないし、かといって魔石では色々と都合が悪い。
他に何か都合のいい魔力タンクはないものか。
……う~ん、何か都合のいい魔力タンク。
…………都合のいい魔力タンク。
………………魔力タンク。
あるじゃん。
ほらアレだよアレ、完全に見なかったことにした永久機関の『光』。
あれって何もしてなくてもどんどん増殖していくでしょう?
しかも、元が魔力で出来てるから土魔法に変換するのも簡単だし、どこにだって存在している。
だったら使うしかないでしょ。
ええ~っと、まずは『光』を魔力に変換してっと……あっ変換するのにも自動化の魔法が必要な感じ?……え~と、だから自動化の魔法で『光』を魔力に変換して、それから自動化の魔法に接続して土魔法を作動するようにしてっと……。
……なんかややこしいな。
今後も使いそうだし、『光』を魔力に変換する魔法は独立させておこうっと。
こうしておけば、今度からはコンセントを差し込む感覚で『光』から魔力を供給できるからね。
ってなわけで出来ました。
作動させてみても問題ないし、これでようやく地面を作れそうだ。
あとは出来上がるまで待つだけだね。
それじゃあ、こんどこそ
………………
…………
……
……ぐぅ。
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