パンダの革命的なカラオケテクニック

かきぴー

パンダの革命的なカラオケテクニック

---パンダたちのカラオケ大会対策会議---


ある日、パンダたちが集まっていた。彼らはカラオケ大会に出場することになっていたのだ。しかし、他の動物たちのように普通に歌って勝つことはできない。そこで、パンダたちは独自のカラオケテクニックを考えることにした。


最初はアカショウビンのリズムに合わせて歌うことにした。しかし、これでは他の動物たちと差別化ができないと考えたパンダたちは、もっと革命的なアイデアを思いついた。


「もしかしたら、私たちが笛を吹いてリズムを取ることができるかもしれない」と、一匹のパンダが提案した。


すると、パンダたちは笛を手に取り、リズムを取りながら歌い始めた。周りの動物たちは、そのユニークな演出に驚き、パンダたちのパフォーマンスを見入ってしまった。


すると、突然パンダたちの歌声が消えてしまった。一瞬静まり返った場内に、微かに聞こえる音があった。それは、パンダたちが笛を吹いた音だった。パンダたちは、笛を吹くことで歌声を消すことができるという、まったく新しいカラオケテクニックを開発していたのだ。


この革命的なカラオケテクニックが話題となり、パンダたちは見事優勝することができた。それ以来、彼らの笛を吹く歌唱スタイルは、カラオケ界に革命をもたらした。


---アカショウビンの苦悩---


パンダたちの劇的な勝利から数ヶ月、前回まで五連覇を果たしていたアカショウビンは、悔しさか、必死にトレーニングを重ねていた。


しかし、アカショウビンがどれほどテクニックを磨いても、パンダ達の奇想天外な手法には勝てる気がしなかった。


「次の大会まであと1ヶ月しかない。あの忌々しい白黒の獣共に、2度も優勝を奪われる訳にはいかない…。なんとしてでも、やつらを出し抜かなければ。」


アカショウビンは、必死に考えた末に、1つのアイデアにたどり着いた。


「そうだ、奴らのテクニックには笛が必須。笛を破壊すれば、奴らにはもうあの歌い方はできないはずだ」


アカショウビンは、キツツキ達のところに行きこんな噂を流した。


「パンダの笛には沢山のイモムシが詰まってる。普通の木を突くよりずっと良い思いができるぞ」


それを聞いたキツツキたちは、我先にとパンダの元に飛び去って行きました。


「キツツキ共は、木に頭を打ち付けすぎて頭が悪いからな。明日になれば全て忘れてるだろう」


アカショウビンは悪い顔をして巣に帰っていった。


翌日、パンダたちはカラオケ大会の準備をしていた。しかし、突然笛が壊れてしまい、リズムを取ることができなくなってしまった。


「どうしよう、もう笛がない。これでは勝てない」と、パンダたちは困り果てた。


すると、あるパンダが「待ってください、私たちが笛なしで歌う方法を思いつきました」と言った。


そのパンダは、空気を口で吸って吹くことで、笛の音をまねることができるという新しいテクニックを考え出したのだ。


パンダたちは驚きながらも、そのアイデアを実践し、リズムを取りながら歌い始めた。周りの動物たちは、その独創的なパフォーマンスに目を見張り、大いに盛り上がった。


すると、突然アカショウビンが現れ、笛を破壊されたことを告げた。しかし、パンダたちは笛がなくても歌えることを証明し、最終的には見事優勝することができた。


アカショウビンは自分の失策を悔い、再びトレーニングを重ねた。しかし、彼らが考え出したどんなテクニックよりも、パンダたちのユニークなアイデアがカラオケ界に革命をもたらしたのであった。


---アカショウビンとヒグマと歌の楽しさ---


パンダ達のテクニックは、多種多様であった。

カラオケテクニックの開発において、パンダ達の才能は完全に開花していた。


笛を壊されれば口笛をつかい、他の動物たちが口笛を真似る頃には、太鼓を導入し、太鼓をキツツキたちに破られればタップダンスを駆使した。

パンダたちは創意工夫を繰り返し、その試行錯誤を心から楽しんでいた。パンダ達は、まさにカラオケテクニック開発の天才だったのだ。


一方、アカショウビンは、以前のような明るさを失っていた。

小柄なアカショウビンにとって、カラオケ大会での優勝は、彼のプライドを支える心の柱だったのだ。


酷く落ち込んだアカショウビンは、食欲も減り、歌を歌うことも減っていった。

その落ち込み様には、キツツキたちですら気を遣ってイモムシを差し入れるほどであった。


「俺は、俺は何をしてもだめだ。俺の栄光は、パンダ達に奪われてしまった」


落ち込むアカショウビンに、遠くから野太い声が聞こえた。


「力が、欲しいか?」


アカショウビンが声の方を振り向くと、そこにはヒグマが立っていた。


「な、なんでこんなとこに。あんたはカラオケ大会にも出ていないだろう…」


アカショウビンが戸惑っていると、ヒグマは低く響く声でこう言った。


「あいつらはずっと気に食わなかったんだ。妙な毛の色してるくせによぉ、バカ見てぇに騒ぎやがって。それに笹なんてものばかり食べやがって。"熊"の風上にもおけねぇ。俺が成敗してやるから、お前は安心して待っておけよ…。あいつらが居なくなれば、優勝できるんだろ」


ヒグマは言い終わると、のっそのっそと帰っていった。


アカショウビンは、ヒグマの言葉に胸がざわめいた。彼は、自分が勝つために他の参加者たちを蹴落とすことを望んでいなかった。


「でも、でも…俺は…」


アカショウビンは、自分自身に言い聞かせた。彼は、自分の歌声が好きだった。優勝しても、他の動物たちからの拍手よりも、自分自身が歌った歌を聞いた時の喜びが大切だった。


そんな中、パンダたちは、新たなテクニックの開発に没頭していた。


「次は、バラードを歌おうかな。それともロックに挑戦しようか?」


「でも、ロックになるとダンスが必要だろう。どうする?」


「じゃあ、新しいダンスを考えよう!」


彼らは、アカショウビンの落ち込みを知らずに、新しい楽曲とダンスを練習していた。


アカショウビンは、パンダたちの創造性と情熱に感銘を受けた。彼らが、優勝するためではなく、自分たちが楽しんでいることに心から共感した。


彼は、自分自身を取り戻し、自分が愛する歌を歌うことに専念した。そして、カラオケ大会当日、アカショウビンは、自分自身に誇りを持ちながら、自分の好きな歌を歌い上げた。


その歌声に、動物たちは感動し、大きな拍手を送った。優勝したのは、最後まで楽しんで歌を歌い続けたアカショウビンだった。


---ヒグマとキツツキ達---


時は少し遡る。


アカショウビンを訪れたヒグマは、その足でパンダ達の元に向っていた。


「くくく…。久々の肉だ…。アカショウビンなんかじゃ腹一杯にならねぇからなぁ…。食ったあとはあいつに言われてやったことにすればよいだろ…」


ヒグマは、とてもとても悪い顔をしながら、森の中を歩いていた。


「そこまでだよ、ヒグマくん」


そこに現れたのは大量のキツツキたちだった。


「なんだぁ、お前らは…。ってアホのキツツキ共じゃあねぇか。俺に楯突くとは、そこまでアホだったか」


ヒグマは酷く面白いものを見たと低い笑い声を上げた。


「そういっていられるのも、今のうちだよ…。皆!いくぞ!」


一匹のキツツキが声を上げると、キツツキ達は一斉にヒグマに襲いかかった。

四方八方から襲いかかられたヒグマはびっくりして腕を振り回したが、小さなキツツキたちには一切当たらない。


腕を振り回したことで、姿勢を崩したヒグマの両目に、キツツキ達が殺到し、自慢のくちばしで目をえぐった。


「ぐわぁぁぁぁぁぁ」


ヒグマは悲鳴を上げてのたうち回った。


確かに、ほとんどのキツツキは、木を突く過程で脳みそをやっており、ちょっとばかし記憶力と思考力に難があった。

しかし、ある一匹のキツツキは、良い感じに脳みそをやったことで、むしろカラスに匹敵するほどの頭脳を手に入れたのであった。

そのキツツキは、いまではリーダーとして他の頭が残念なキツツキたちを束ねている。


リーダーキツツキは、アカショウビンの所業に気づいており、そのすべての悪事を覚えていた。

その一方で、アカショウビンの抱える複雑な気持ちにも気づいていたのだ。

アカショウビンは、キツツキ達に良くしてくれる友人だったから、リーダーキツツキは彼を糾弾するか悩んでいたのだった。


リーダーキツツキは、アカショウビンにイモムシを差し入れに向かったときに、ヒグマとアカショウビンの話を聞き、ヒグマを止めることを決めたのだった。


---最高のカラオケテクニック---


時は、カラオケ大会の日に戻る。

アカショウビンの素敵な歌声に、リーダーキツツキはつい涙をこぼした。


(良かったね、アカショウビン君)


パンダ達は、アカショウビンの歌に感銘し、ある提案を持ちかけていた。


「私たちは、ずっと前から、アカショウビンくんのことを尊敬していました。ぜひ、あなたのリズムに乗って歌わせて下さい。一緒にセッションしましょう」


アカショウビンは、パンダ達の提案に驚きながらも、嬉しさで胸がいっぱいになった。


「え、本当に?! それは嬉しいなあ!」


アカショウビンは、パンダ達と共にステージに上がり、一緒に歌い始めた。

彼らの歌声は、森の中に響き渡り、周りの動物たちを感動させた。


「素晴らしい! 彼らの歌声は本当に素晴らしい!」


周りの動物たちは、口々にパンダ達とアカショウビンを称えた。


ヒグマは、カラオケ大会の会場から離れた場所で、パンダ達とアカショウビンの歌声を聴いていた。


彼は、自分がアカショウビンに対してやったことを反省しつつも、憎しみや嫉妬心から立ち去ることができず、会場に向かって歩き出した。


「どうせ、あいつらもろくな歌声じゃないんだろう!」


そう言って、ヒグマはカラオケ大会の会場に入り、ステージに上がった。

パンダ達とアカショウビンは、突然の乱入に驚いたが、快くステージの一角をあけた。


ステージに登ったヒグマは、パンダ達とアカショウビンに対抗するように、自分の得意な歌を歌い始めた。


しかし、会場中の動物たちは、ヒグマの歌声を聴いてがっかりした。


「うわっ、あんなにうまかったパンダ達とアカショウビンの歌声とは大違いだ…」


「ああ、でも、ヒグマは自分の歌声を真剣に楽しんでいるみたいだよ」


会場中の動物たちは、ヒグマの歌声には感動しなかったが、彼が自分の好きなことを楽しんでいる姿勢には敬意を表した。


そして、カラオケ大会は、パンダ達とアカショウビン、そしてヒグマの歌声とともに、楽しい時間となったのであった。


--fin--

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