フィールネオタイプ

エリー.ファー

フィールネオタイプ

「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「誰ですか」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「そもそも、殺し屋を名乗っている人がいるんですか。そこから怪しいと思っちゃうんですけど」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「水素を使って殺すらしいですね」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「ロケットランチャーを使って、標的を殺すらしいですね」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「知りません。申し訳ないんですが、あの、あっちの人に聞いてもらっていいですか」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「殺し屋ミスネクリオンデアイテールなら知ってるんですけども」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「それは、仕事を頼みたいということですか」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「それより、ホットココアができたので食べませんか」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「あんまり、ここでその名前は出さない方がいいですよ」


「殺し屋ミスターネクリオンデアイテールについてご存じですか」

「私ですよ。私が、本物の殺し屋ミスターネクリオンデアテールです」

「えぇと、違います。ちゃんと聞いて下さい」


「時間とは何ですか」

「時の間です」


「時間とは何ですか」

「過去にのみ発生する概念です」


「時間とは何ですか」

「命に近い何かです」


「時間とは何ですか」

「あなたを構成する主たる要素です」


「時間とは何ですか」

「時空ではないものです」


「時間とは何ですか」

「何であってもいいです」


「モツ煮はお好きですか」

「めっちゃ好きです。ビールあったら、お願いします」


「モツ煮はお好きですか」

「塩モツ煮が大好きです」


「モツ煮はお好きですか」

「モツ煮は好きなんですけど、モツが何なのかわからないんですよね。美味しいから食べてますけど」


「モツ煮はお好きですか」

「少量なら、お願いします」


「モツ煮はお好きですか」

「なんで、モツをカタカナにするんですかね。えぇと、まぁ、モツ煮は好きですね」


「モツ煮はお好きですか」

「味噌味が嫌いなんですよ」


「アイドルになりたいなぁ」

「なれば」


「アイドルになりたいなぁ」

「いいからなればいいじゃん」


「アイドルになりたいなぁ」

「だからなれって、なんだよ、お前」


「アイドルになりたいなぁ」

「もうアイドルだよ。大丈夫だよ」


「アイドルになりたいなぁ」

「偶像になりたいということですね」


「アイドルになりたいなぁ」

「その前に万引きする癖を直した方がいいと思うよ」


「アイドルになりたいなぁ」

「麻雀アイドルになればいいじゃん」


「アイドルになりたいなぁ」

「もう、なってるよ。自覚とか覚悟がないだけでね」


「先生になりたいです」

「なればいいじゃないですか」


「芸術家ってなんですか」

「アマチュアは、自由そのもの、と言いたがりますね」


「麻雀最高」

「私は麻雀とアイドルを掛け合わせるような、頭の悪い売り出し方が嫌いです」

「本当ですか」

「嘘です。売れればなんだっていいと思います」

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