間隔
くそっ、どうして気づかなかったんだろう。今日を昨日から見たより良い一日するべきなのに、今日を今日として生きてしまった。全くひどいもんだ。
揺れる。電車の中で、揺れる。心地の良い揺れは眠気を引き起こす。隣には腕を組んで寝ている女子高生がいる。真正面には帽子を深くまで被り、スマホをいじっている青年がいる。揺れる、また揺れる。そして到着のアナウンスが流れると、それまで座っていた人がスタンディングオベーションのように立ち上がり、電車を後にし、激流のように乗車する人たちと入れ替わる。ぼくが意識していたさっきの二人もすでに新しい人と入れ替わっている。目的地まであと3駅ほどある。
時速40キロ程度で走る鉄の塊の中、いっさいの事故も起きないと確信しながらぼくらは安心しきっている。旅客案内表示装置、電車内に流れる風で揺れる広告を見つめ座っている。
そして、今日を最高の1日として生きろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます