念じた訳ではないけれど…
斑鳩陽菜
第一回『ベートーベン』と『さださん』
みなさんは何かを念じたり、予知をしたという経験はあるだろうか? それがのちに現実になったことが。
現在、安倍晴明さまを主人公に【半妖の陰陽師~碧き閃光】を執筆をしていて、人の念が物事を動かすようなことを書いたりしているが、ふと思い出した。
これまでに何度か思ったことや、あるモノをイメージしたらのちに実物となってあらわれたことがあった。
最初は高校二年の時である。
私は神奈川にある某女子校に通っていたのだが、高校二年に進学した私は当然クラス替えとなり、担任も替わった。
問題は、この担任だった。周りは彼を『ベートーベン』と呼ぶ。
そう、音楽教室によく肖像画として掲げられているあの作曲家である。担当教科は何だったか忘れたが、まさに肖像画そのままの顔をしていて、眼鏡をかけている。しかもにこりともしないので、はっきり言って怖い。
中身はいい先生なのだろうなぁとは思いつつも、眉間に皺を寄せて振り向かれると思わず後退った。なので、日直になると朝から憂鬱で、職員室に入りプリントを貰いにいかなくてはならないときは、とても困った。
さて、そんな私に後に十年以上も付き合う事になる友人Sがいる。
読書好きでアニメ好き、好きな歌手はさだまさしさん。
そんな彼女が密かに押している先生がいる。教科は英語である。
これがまた、さださんそっくりなのだ。
声は違うが、フォルムが似ているというか……。
温和でよく笑うし、かの『ベートーベン』とは真逆。
――この人が、担任だったらなぁ……。
私は、本気でそう思っていた。
それからどのくらい日が経過したのか朝、教室に入ってきたのは『ベートーベン』ではなく、違う先生だった。
「担任の●●先生ですが体調を崩され、副担任の先生がしばらく見て下さいます」
副担任の先生がいることなど初めて知ったが、周りが「やったぁ」と喜ぶ。不謹慎かも知れないが、私も内心万歳した一人である。
やがて、その副担任の先生がやってきた。
――はい?
なんと副担任とやってきたのは、友人Sが推す『さださん』(※そっくりさん)だった。
しかし仮である。
このまま、担任になったりして――。
当時の私は、そう思った。
しばらくして、その通りになった。
『ベートーベン』(※本名忘れた)が復帰できないとなったのだ。副担任『さださん』は担任となり、私は高校二年の課程をそのまま終えた。
因みに『さださん』、本名まで似ていた。『まさし』ではなかったが。
――高三の担任も『さださん』がいいなぁ。
春になればまたクラス替えとなる。さて、担任は誰だと待っていると。
――ええええええ。
なんと、『さださん』登場。
因みに、何故私まで彼を推していたというと、友人Sと二人でよく『さださん』に会うからだ。得に担当クラスをもっていなかった『さださん』は、なぜか担任よりよく遭遇する。
その友人Sは高校二年で中退してしまった。
しかしまさか、『さださん』が高校三年の担任となるとは。
そりゃあ、担任は『さださん』がいいなと思ったけれどさぁ。
二度念じて、二度現実になった。
今、二人はどうされているのだろう。
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