第2話
ある分家の繋がりで有名な大学病院に搬送され、綿密な検査を受けても、いずれも『原因不明』という結果が返ってきた。皮膚の上に赤黒く浮かび上がる薔薇の模様にちなんで『
念のため、まだ発見されたことがない病気という線で調査を進めるという話に落ち着いたのだが。一年後が経っても依然として『原因不明』と返ってきて、観察経過のために別の病院に転院することになった。
後から
マスコミに察知されないように、大学病院の協力を得て
先代当主・
使用人の間では、
そんな
辺境で尚且つ自然に囲まれて、静かに療養できる病院。
そんな理想的な転院先というのは、
そのために、
「……今度は私をここに監禁するんだ」
そう口にした
小さい頃から姉たちに無視され、やっと一緒に問題を解決してくれる仲間を手に入れたと思ったら、今度は祖父を亡くし。
彼の者を亡くして間もなく、各々の自己利益のために、競うように派手な贈り物をする分家連中は無神経さに晒され。その対応に専属メイドが追われていたせいで、最初に交わした約束も果たせなかった。
家のことが嫌になってきた頃にやっと念願の学校に通えると思ったら、今度は
大人の身勝手な事情に振り回され、自分のことに関する決定権が何一つも与えられず。彼女の人生の大半は、ただ監禁場所を転々とした生活を送っただけに過ぎない。
そして、そんな状況を作り出した原因の一つは、他でもない
ずっと良かれと思ってしてきたことが、逆に
自分はいつの間にか仕えるべき主人を履き違えていた、と今更ながら罪悪感が生まれてきた。
――約束を交わした相手は
どこでズレたのか。どうしてあの時は
けれど、その思いも全て、何の意味も持たない虚しい後悔となった。
「 一日も早いご回復をお祈りしております。では、また明日」
別れの言葉ですら虚しく室内に響くだけ。
「……忙しいなら、もう来なくてもいいよ」
――今度こそ、こちらから約束を果たす番でございます。
それから
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