第3話在りし日2

 階下に降りていくと、やはり彼女がキッチンにいた。軽やかな音をたて芳しい香りを漂わせている。ここからだと後ろ姿しか見えないが普段は降ろしている髪を上げて、袖をまくりあげて。迂闊にも少し見惚れていたようで…


おはよ、何してるの?今日は遅かったんだね。いいからテーブルに座ってて。コーヒー?


おはよう。ありがとう、コーヒー何も入れずに


 なんだろう、トーストかな。あとはスクランブルエッグ、サラダ、コーヒー。朝食らしい朝食は久しぶりだからかなり嬉しい。そしてひとりで食べなくていいのが一番嬉しい。


いただきます×2


 他愛もない朝のワンシーン。かけがえのないものは、いずれ消えてしまったのだ。それはもう戻ることはないんだから。

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