第10話「助けて!って言っていいの?」ー1

 いつもより少し早く学校に着いた妃美子は、恐る恐る下駄箱の扉を開けた。先週1週間分のラブレターの中から、例のペールブルーの封筒だけを引き抜き内容を確認するつもりでいたのだが、その必要はなかった。


 妃美子の下駄箱には先週火曜日から金曜日までの4日間と、今日の分と思われる計5通のペールブルーの封筒が真っ赤なリボンで束ねられており、


――邪魔な手紙がたくさんあったから、ボクが全部処分しておいてあげたからね。妃・美・子ちゃん。


 という赤文字が、“もふネコ戦士エカチェリーナ” のイラストが描かれた大きめの付箋に書かれていた。


 あわよくば、妃美子が欠席している間に犯人の気が済み、嫌がらせが止むことを願っていた妃美子だが、犯人の怒りは予想以上であり、かなり粘着質であることから、今回の出来事が穏便には済まされないであろうことを、妃美子は覚悟した。


 気味の悪い5通の封書をトイレの個室で慎重に1通ずつ開封した。もしかしたら、刃物や……最悪、爆弾などが仕掛けられている可能性があるからだ。


 封筒には、ご丁寧に日付と曜日が記載されていたので、妃美子は、先週の火曜日の分から開封した。

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