玄宗学園高校の楊貴妃

喜島 塔

第1話「妃美子の回想録」ー1

 如月 妃美子きさらぎ ひみこ 16歳。


 学区外受験のため合格できるかどうかは微妙なところだと中学校の担任教師からも言われていた、憧れの“玄宗学園高校げんそうがくえんこうこう”に見事合格した妃美子は、期待に胸を膨らませていた。


 桜色の髪を耳の上へ結び目がくるように結い上げたツインテールは、身長156cmと小柄でかつ、誰もが羨む愛され童顔の妃美子の可愛らしさをより一層引き立てていた。


(35点、52点、27点……

はああっ……この高校まじブス多過ぎっ! やっぱり、私がこの高校一の美少女ってことになっちゃうのかなあ……)


 可愛らしい外見からは想像できないほど、性格はおブスちゃんみたいだけれど……


 妃美子は、玄関口に貼り出されたクラス分け表で、自分のクラスが1年3組であることを確認し、ぴょんぴょんっと子うさぎが飛び跳ねるようにして教室へと向かった。


 勢い良く前方のスライドドアを開けると、男どもの視線が一斉に妃美子に注がれた。


(ほら……やっぱり、私がいちばん可愛いんだって……)


「やばっ! 3人目の美少女登場だよ! このクラスヤバくね? 3人も超絶美少女集まるとか、マジ奇跡なんだけどっ!」


(えっ?  3人目ってどういうこと?)

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