第32話 犯人
翌日、私が登校するとまたいつもの様に、みんなからヒソヒソされた。
「はぁ…」
「あー!人の男に手を出したやばい女!」
「…一ノ宮先輩。」
「ねぇ、どんな気持ち?私の焚翔を奪っておいて何事も無かったように学校来るとか」
「一ノ宮先輩、それ止めないと名誉毀損になりますよ。」
「本当のことなんだからなるわけないじゃない?」
「と言うか、先輩も本当に暇ですよね」
「は?」
「わざわざそんな嘘の噂を…しかも1年生だけに広まるようにしてるなんて、暇以外に何があるんですか?」
「あんたね…!」
「いーちのみやっ」
「…水元」
「ダメだよ?後輩いじめなんかしちゃっ」
「あんたには関係ないでしょ」
「関係あるんだよなー。」
「は?」
「お前さ、詩ちゃんのとこの担任にも嘘吹き込んでるよね?」
「…」
「嘘ってどういうことですか?」
「こいつ、詩ちゃんが担任のこと好きだとかありもしないことばっかり言ってたみたい」
「どうしてそれが分かったんですか?」
「詩ちゃんの担任から直接聞いてきた!」
「なるほど…」
「だからもう担任には何言っても通用しないからな。」
「っ…」
一ノ宮先輩はまた悔しそうな顔をしてその場を去っていった。
「水元先輩、ありがとうございました!」
「いいって!それより早く教室行かないと遅刻になっちゃうよ?」
「あ、本当だ!じゃあ、先輩。またお昼休みに!」
「おう、まったなー!」
私は水元先輩と別れて教室に向かい、由莉たちにさっきの話をした。
「やっぱり一ノ宮先輩が関わってたのね…」
「まさか担任にまでそんなことしてたなんて思わなかったよ。」
「それにしても、こんなことして八神先輩にバレないとでも思ってるんですかね」
「思っているからやってるんだろうね…」
「でも、水元先輩にバレてるって分かったら必然的に八神先輩にもバレてるって思うだろうから、大人しくなるんじゃないかな?」
「そうだといいけど…」
その後、担任が来て私を見つけると直ぐさまに謝罪してきた。
どうやら、水元先輩が担任に話を聞いてくれた時に、真実を話して説教してくれたらしい。
教師に説教しちゃう水元先輩って一体何者なのか…
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