ヤンキー彼氏は素直じゃない

第31話 噂話について

私は今、由莉の家に咲枝と遊びに来ている

一ノ宮先輩の嫌がらせは全校生じゃなく1年生の間だけの噂になっていた。

私のクラスの子たちは＂一ノ宮先輩が勝手に言ってるだけ＂と分かっているから、他のクラスの子たちから何か言われたりしたら、守ってくれてる。

それがしばらく続き、さすがに私も精神的にしんどくなってきた…

｢大丈夫ですか、詩。｣

｢うん…ちょっとしんどいかも…｣

｢毎日、他のクラスの子たちから変な目で見られたりヒソヒソされたりしたらキツいよね…｣

｢担任まで信じ込んでるから、毎日別れたのか聞いてくるし…｣

｢そもそも、先生はなんでそんなに別れさせたがってるんでしょうか？｣

｢全くわかんないんだよね…だって先生には関係ない話じゃん？｣

｢そうですよね。これは詩と八神先輩と一ノ宮先輩の問題ですからね｣

｢でもさ、八神先輩の彼女だって言って相談したのって、本当に一ノ宮先輩なのかな？｣

｢咲枝、どういう事？｣

｢いや…だってさ。詩は担任から＂八神の彼女から相談された＂って言ってたんでしょ？｣

｢うん…そう言ってたよ？｣

｢誰も＂一ノ宮先輩＂っては言ってないよね？｣

｢そう言えばそうですね…｣

｢確かに。もう一ノ宮先輩だって思ってたし、言いふらしてるのが一ノ宮先輩だからってそう考えてたけど…｣

｢とにかく、私のことを良く思ってない人が先生に言ってるってことだけはわかるけど…｣

私たちは頭を抱えてしまう程悩んでいた。

そんな時、突然部屋のドアが開いた。

｢由莉、邪魔するぞー！って詩ちゃんに咲枝ちゃんもいる！！｣

｢どうしたんですか。蒼也兄さん｣

｢暇だったから遊びに来たんだけど…｣

｢そうですか。ご覧の通り、私は暇じゃないのでさよーならー！｣

｢ちょちょちょ！｣

｢もう、なんですか？｣

｢まぁ、暇って言うか…聞きたいことがあってさ｣

｢聞きたいこと？｣

｢うん…詩ちゃんが＂一ノ宮の彼氏を略奪した＂って噂について☆｣

｢え…｣

｢蒼也兄さん…それどこで…？｣

｢最近、その話が俺の耳に届いてさ。それが本当なら許せないからな｣

｢…まぁ本当ですね｣

｢蒼也兄さん。まさかとは思いますけど、信じていないですよね？｣

｢当たり前じゃん！なんでそんな噂が広まってるのか不思議すぎて｣

｢実は…｣

きっと水元先輩は本当のこと言わないとずっと聞いてくるだろうから、今までの事を話した。

｢なるほど…確かに担任がそんなにしつこく＂別れたか＂聞いてくるとかおかしいよな…｣

｢それで、他のクラスの子たちからの視線とかヒソヒソ話とかがキツくて…｣

｢よし！俺にちょっと任せて！｣

｢え！？｣

｢蒼也兄さん、何するんですか？｣

｢なーいしょっ！とにかく、詩ちゃんに不利なことにはならないから安心して！｣

｢蒼也兄さんがそう言うなら…でも、本当に大丈夫なんですか？｣

｢あぁ。それに担任も怪しいから調べてみようと思ってるんだ｣

｢水元先輩って…何者なんですか？｣

｢よくぞ聞いてくれたよ、咲枝ちゃん！！｣

｢へ？あぁ…はい｣

｢俺は…｣

｢｢｢俺は…！？｣｣｣

｢君たちの先輩だぞ☆｣

｢｢｢…｣｣｣

｢あれ？｣

｢詩。今度ダブルデートでもしませんか？｣

｢それいいね！吉川先輩とは中々話せてないし、楽しそう！｣

｢ねぇ！私だけ仲間外れじゃん！｣

｢じゃあ５人で遊びに行こうよ！｣

｢え！？俺は！！？？｣

｢あ、蒼也兄さんまだ居たんですか？｣

｢ねー！！！ごめんって！俺も仲間に入れてよ…｣

｢水元先輩、大丈夫ですよ。ちゃんと仲間に入れてあげますから｣

｢ありがとう…咲枝ちゃん｣

それから水元先輩はしばらく私たちと話したあと＂俺、早速やる事あるから！＂と言って帰って行った。

｢…水元先輩大丈夫かな？｣

｢ちょっと心配だけど、任せてみようよ！｣

｢まぁ、蒼也兄さん、いざと言う時頼りになりますから大丈夫ですよ。｣

由莉からそうお墨付きを貰ったので、水元先輩のことを信用しておまかせする事にした。

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