第15話 もしかして…
あれから放課後になり、私は先輩の言われた通りに教室で待っていた。
「先輩遅いな…」
教室の窓からグラウンドを眺め、そう思いながら待っていた。
しばらくすると教室の扉が開き、そこには息を切らした先輩がいた
「…わりぃ、遅くなった」
「いえ、大丈夫です!それより先輩こそ大丈夫ですか?」
「俺は別に…とりあえず、帰るぞ」
「あ、はい!」
私は先輩にそう言われ鞄を持って後ろをついて行った。
「あの、先輩」
「なんだ?」
「どこに行くのか教えて貰ってもいいですか?」
「お前に会わせたいやつがいる」
「へ!?」
「とにかく黙って着いてこい」
「わかりました」
先輩はそう言うと私の歩く速度に合わせてくれながらも、終始無言だった。
30分ほど歩くとそこは…
「先輩、ここって…お墓…ですか?」
「そうだ」
「何でここに?」
「ここに、俺の最愛の人が眠ってるんだ」
「え…」
「昨日、蒼也から聞いたんだろ?俺のこと」
「はい…でも、どうしてわかったんですか?」
「蒼也が朝からペラペラ喋っててな。葉山なら気になってるんじゃないかって思って」
「どうして、私が気になってるって…」
「お前、今日。ソワソワしながら登校してきただろ?」
「え!?見てたんですか!?」
「なんか怪しかった。」
「恥ずかしい…」
「最初何してんだ?って思ったんだけど、蒼也の話聞いてそういう事かってなってな。」
「だから朝、教室に来たんですね」
「そういう事」
先輩はそう言うとあるお墓の前で立ち止まった。
「ここ誰のお墓なんですか?」
「俺の元カノ」
「え…」
「病気がちだったんだ。」
「…」
「俺さ、ずっと元カノのことが忘れられなくて。これからもこいつだけだって思ってた。」
先輩はそう言うと数秒、手を合わせていた
「…でも、お前のおかげで前に進める気がしてきた」
「どういう…」
「お前があの時…俺にぶつかってきた時から葉山のことが気になってんだよ」
「…ええええ!?」
「なんだよ」
「そ、それってどういう…?」
「ま、そういう事だ!帰るぞ」
先輩はそう言うとさっさと出口へと向かって行ったから、そのあとを必死について行った。
先輩はちゃんと私を家まで送ってくれて、帰り際に"また明日な。詩"と言っていつもの様にポンポンして帰って行った。
「…今、詩って言った?」
あまりにも唐突に名前を呼ばれ数秒そこに立ち尽くし"気のせいだ"と思いながら家に入った。
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