第9話 ジェットコースター

電車に乗り、私たちは無事に遊園地に着いた。


「遊園地っ!」


「小学校以来ですねっ」


「よーし!楽しむぞー!」


私たちと水元先輩は嬉しくてテンションが上がっていたが、八神先輩と吉川先輩だけが冷静に私たちを見守っていた。


「とりあえず、中に入りましょうか?」


吉川先輩の言葉に私たちは子供のようにはしゃいで中に入っていった。


「せっかくだし、全員で行動するのもいいけど、どうせだしペアで行動しようぜ!」


「それいいね!」


「じゃあ、俺と咲枝、悠斗と由莉、焚翔と詩で行動しようぜ♪」


「え!?」


急な水元先輩の提案と振り分けにビックリしてどうしようかと悩んでしまった。


「じゃあ、とりあえずお昼にここに戻ってきてみんなで食べよう!じゃ、解散!!」


そう言ってそれぞれ好きなアトラクションへと行ってしまい、私と八神先輩はその場に取り残された。


「…先輩どうしますか?」


「んー…なんか乗りたいやつある?」


「じゃあ、ジェットコースター!」


「…マジ?」


「もしかして先輩苦手ですか?」


「別に苦手じゃねぇよ。行くぞ」


先輩はそう言うと私の手を引いてジェットコースター乗り場へと向かった。


「先輩!もうすぐですよっ」


「…」


少し並んでもうすぐ私たちの番になろうとしたから、嬉々としてそう言って先輩の顔を見ると、"ヤバい"って顔をしてた。


「先輩、大丈夫ですか?」


「だ、大丈夫だ!」


「お待たせしました!次のお客様、順番にご乗車ください!」


「先輩、よかったら手繋ぎますか?」


「お、お前が怖いって言うなら繋いでやってもいいけど!」


「(絶対先輩の方が怖がってるよね…)ジェットコースター好きなので別に繋がなくても…」


「つ、繋いでやるって言ってるんだからす、素直に繋いどけよ!」


そう言って先輩は無理矢理手を繋いできた。


その後はもちろん、怖かったようで乗っている間は固まって声も出せずに終わったみたい。


「先輩、大丈夫ですか?」


「ごめん、もう少し休ませて…」


そんな先輩に私は近くの自販機で飲み物を買って先輩に渡した


「ありがとな」


「いいえっ!でも、苦手なら苦手って言ってくださいよ!」


「んなカッコ悪いことできっかよ」


「いいじゃないですか、カッコ悪くても!苦手なものは誰にでもあるんですからっ」


「…他の奴には言うなよな」


「先輩がそう言うなら内緒にしてあげますよ!」


「…」


「でも、さっきの先輩…可愛かったですよ!」


「…は?可愛いだ?」


「はい!"手繋いでやってもいい"なんて」


「うっせ」


しばらく休むとお昼になりそうだったので、みんなと合流するために入口へと向かった





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