第3話 八神先輩

翌日、お昼休みになると私は由莉と八神先輩の教室の前に来ていた。


「んーっと…あ、蒼也兄さん!」


「ん?おーっ由莉じゃん!どしたの?」


「詩、こちら従兄の水元蒼也(みなもとそうや)さん」


「は、初めまして。葉山詩ですっ」


「初めまして!」


「蒼也兄さん、八神先輩ってどこにいるかわかりますか?」


「ん?焚翔?あいつならいつも屋上にいるぜ?あいつになんか用だったのか?」


「はい。私ではなく詩がですけどね。」


「へー。あいつに何の用なの?」


「実はこの前、八神先輩とぶつかってしまって…そのお詫びと、お礼が言えてなかったので…」


「え!?大丈夫?何もされなかった!?」


「え?いえ特には…座ったままだった私を立ち上がらせて怪我がないか聞かれましたけど…。」


「そうなんだ…」


水元先輩はなにか考え込んで、不思議そうな顔をした。


私たちはどうしたらいいのか悩んでいると…


「…邪魔なんだけど」


「え?あ、ごめんなさ…」


誰かに声をかけられ謝りながら振り返ると、そこには…


「お、焚翔!」


「…おう」


「ちょうど良かった!この子がお前に用があるって来てたんだよ」


「俺に?」


八神先輩は不思議そうに私を見ると、一瞬驚いた顔をした。


「お前、この前俺とぶつかった…」


「は、はい!葉山詩です。あのっこれ、この前ぶつかったお詫びです。あと、あの時はありがとうございました。」


「別に…ってか、ありがとうって?」


「あ、立ち上がらせてくれたのと、私からぶつかったのに怪我の心配してくれたので…」


「あぁ…。」


「焚翔、183cmもある大男だからさ、詩ちゃんくらい小さいとぶつかっただけで吹き飛ぶからね!」


「吹き飛ぶは言い過ぎだろ」


「そうか?」


そう、八神先輩はかなり身長が高い。

対して私は158cmしかないのだ…


「詩、そろそろ休み時間終わりますよ?」


「あ、そうだね。あの、八神先輩、水元先輩そろそろ失礼します」


「うん、よかったらまた遊びにおいでよ!」


「気をつけて教室戻れよ」


「あ、はい!」


そう言って私たちは自分たちの教室に戻った。





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