閑話 美雨の出生 後編
木偶の乱。
当時、孝武帝は怪しげな術に溺れ、不老不死を求めた。そこに、一人の方士が現れる。名前は
彼は孝武帝に取り入り、法外な報酬をふっかけた。彼を気に入った孝武帝は、次第に諌める皇太子や臣下たちを遠ざけるようになる。
そしてついに、
怒り狂った孝武帝は
この
そして、捉えられた
私だけを残して。
当時、
彼は私を憐れんで、私費で養ってくれたらしい。その後お祖父様たちが処刑された後に無実が証明され、私は彼の養子になっている。だから今まで知らなかったけど、私の氏は
私が知りたいのは、この後。
私は彼のことを覚えてない。親なし子として、物心ついてから奴隷として生きていた。
彼はこの後、官職を失い、地方で働いていた、となっている。その後、急に光禄大夫についている。
何故彼は官職を失っているの?
彼の養子になった私は、なぜ市中に放り出されたの?
■
結局、めぼしい情報は手に入れられず、私は後宮に戻ることにした。
「あ、
後宮に戻ると、見慣れた顔があった。
「
「藍大将軍の命で、私も女官として後宮に入ることになったんです。しかも
いえーい! と、明るく
「あ。……
「いいわよ言い直さなくて」
「だけど、あなたも巻き込むことになってしまったわね……いつも頼りっぱなしだわ、私」
「なんのなんの! それに私、今ワクワクしているんですよ!」
頬を両手で覆い、恍惚とした顔で
「権謀術数の宮殿、華やかな世界の裏側のドロドロとした世界、そこに毒殺がないなんてことはなく……! ああ、楽しみで仕方なくて!!」
「相変わらず変態ね、あなた」
「毒だけじゃなくて、仕掛けで密室殺人とか起きないですかねえー」
「私、
でも正直、こんな精神じゃないとやっていけないような気もする。宮廷って。
「あ、更に
「
「ええ、藍大将軍の取り計らいで! 后庭にいますよ!」
それはありがたい。けど。
「気を遣うのではあれば、
「……
私の呟きに、
「知っているの?」
「ええと……
「そうよ」
「もしかして、
「へ?」
「その方は、伯母さまの元婚約者ですよ」
「……はえ?」
またしても知らない私だった。
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