AFTER1.ほんのちょっとだけ先の物語
両開きの西部劇風ドアを押して、僕は真っ直ぐ歩いていく。
「マスター、
「いつものだってよ、ギャハハハハ」
野次が飛ぶ。
「ローネタン5人前な。4500ルコニだ。」
僕は5000ルコニ紙幣を1枚渡す。
マスターからお釣りのルコニ銀貨5枚を受け取ると同時に、僕は言った。
「君たちお金持ちは、900ルコニで食べられるような料理なんて大したことないって思ってるかもしれないけど、そんなことないぞ。ローネタン、最高だぞ〜!」
マスターはわずかに笑った。
「と言う訳で、今日は僕の奢りだから」
「いや、お金足りないだろ?お前」
「お前が言うなよ、森暮らしが!」
「でも確かに。むしろあなたは私に奢られるべき。
このくらいの金額なら、フラストノワールの復興で呼んでる建設ギルドとかの人全員に奢れる分、私が出せる」
「いや、そこまでは言ってないって。
いつも助けてもらってるのに、こんなところでまで気を使われるの、悔しいんですけど...」
「やあいヒモ男!」
「うるさい!」
「ま、まあ、いいじゃないですか。ほらみんな、料理が来たみたいですよ。ほらあの...ロ、ロー...」
「ローネタンだ。」
ガン!と音を立てて、黒い鉄板に大盛りにされた橙色の麺が置かれた。
湯気とトマトの香り立つ麺。
そして短冊切りのピーマンと厚切りの牛タンが添えられていた。
そこにマスターが純白の液体をかけていく。
「「「いただきます」」」
白くて大きな獣も、同様に鳴いた。
「ええっ!?私以外みんな、いただきますって言う人なの...!?」
シエルはびっくりした。
「おれはまあ、こいつの影響っていうか。」
「私も、彼と一緒に暮らしてるから、仕方なく」
「仕方なく!?
まあでも...最初にここに来たときは、僕もいただきますなんて言ってなかったんだよな。
僕は確か......そうだ!トキロウが言ってたから真似したんだった!おい何嘘ついてんだよ!」
「あれ?そうだっけ?」
トキロウは笑いながら言った。
「料理が冷める。早く食え。」
マスターが言った。
僕たちは銀色のフォークを手にとり、ローネタンを食べ始めた。
しばらく、みんな夢中で食べていた。
「おいマスター、これは美味すぎる!」
「はい、美味しかったです!」
「私は元々肉は好きじゃないけど、麺は最高。料理人としてスカウトしたい」
マスターは得意げに笑った。
「隠してた?」
「えっ?」
「そうだぞロゼット!なんで早く教えなかった!」
僕は両隣から恋人と親友に揺らされて、目を回した。
「ちょっと、ロゼットくん困ってるから!やめてあげてよ!」
それから、ふと思った。そして訊いた。
「あの日さ」
「ああ、あの日ね」
サマーは言った。
「どの日だよ」
「灰色になったじゃん、国宝がさ。」
「ああ、あの日か」
「でもすぐ色が戻ってたじゃん。どうやったの?」
するとシエルに、逆に訊き返された。
「ロゼットくんはどうしたら戻ったの?」
「ああ。僕は...もう誰も死なせたくないって思ったんだ。
そしたら、かな。ただがむしゃらにそう思って、そしたらなんか、白くなってた髪色も戻ってた。
みんなはどう?」
「私も同じ。」
サマーは言った。
「でも私の場合、死なせたくないって言うよりは生きたいって思ったかな。」
「生きたい?」
「生きたい......生きるっていうのは、ただ単になんとなくその場で死にたくないって思うだけじゃないと思う。
私はこの後みんなとご飯が食べたいって思った。そこに大切な人が欠けてたら嫌だと思った。
それがきっと、生きたいってことなんだって私は思う。
私は、だからかな。」
「おお、おれもそんな感じ。」
トキロウは言った。
そして続けた。
「でもよロゼット。お前の髪色は白から赤に戻ったんじゃなくて、ただ生まれつき赤だったのがコズミキ=コニスに白にされて、今度は自分の意思で赤色に変わった。
戻ったんじゃなくて、進んだんだと思う。
元は白かったであろう、この麺の色みたいにな」
そう言ってトキロウは麺を頬張った。
「なんか、無理やり良いこと言おうとしてない?」
「うん、ちょっと語感がださかった」
「まさか、名言だろ?」
「シエルはどんな感じ?」
「わっ!?私は...」
取り乱した。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です!
私も、そうですね。みんなと同じです。
大切なみんなを守りたい、みんなと一緒にこれからも仲良くしたい。
両開きの西部劇風ドアを押して、僕は真っ直ぐ歩いていく。
「マスター、
「いつものだってよ、ギャハハハハ」
野次が飛ぶ。
「ローネタン5人前な。4500ルコニだ。」
僕は5000ルコニ紙幣を1枚渡す。
マスターからお釣りのルコニ銀貨5枚を受け取ると同時に、僕は言った。
「君たちお金持ちは、900ルコニで食べられるような料理なんて大したことないって思ってるかもしれないけど、そんなことないぞ。ローネタン、最高だぞ〜!」
マスターはわずかに笑った。
「と言う訳で、今日は僕の奢りだから」
「いや、お金足りないだろ?お前」
「お前が言うなよ、森暮らしが!」
「でも確かに。むしろあなたは私に奢られるべき。
このくらいの金額なら、フラストノワールの復興で呼んでる建設ギルドとかの人全員に奢れる分、私が出せる」
「いや、そこまでは言ってないって。
いつも助けてもらってるのに、こんなところでまで気を使われるの、悔しいんですけど...」
「やあいヒモ男!」
「うるさい!」
「ま、まあ、いいじゃないですか。ほらみんな、料理が来たみたいですよ。ほらあの...ロ、ロー...」
「ローネタンだ。」
ガン!と音を立てて、黒い鉄板に大盛りにされた橙色の麺が置かれた。
湯気とトマトの香り立つ麺。
そして短冊切りのピーマンと厚切りの牛タンが添えられていた。
そこにマスターが純白の液体をかけていく。
「「「いただきます」」」
白くて大きな獣も、同様に鳴いた。
「ええっ!?私以外みんな、いただきますって言う人なの...!?」
シエルはびっくりした。
「おれはまあ、こいつの影響っていうか。」
「私も、彼と一緒に暮らしてるから、仕方なく」
「仕方なく!?
まあでも...最初にここに来たときは、僕もいただきますなんて言ってなかったんだよな。
僕は確か......そうだ!トキロウが言ってたから真似したんだった!おい何嘘ついてんだよ!」
「あれ?そうだっけ?」
トキロウは笑いながら言った。
「料理が冷める。早く食え。」
マスターが言った。
僕たちは銀色のフォークを手にとり、ローネタンを食べ始めた。
しばらく、みんな夢中で食べていた。
「おいマスター、これは美味すぎる!」
「はい、美味しかったです!」
「私は元々肉は好きじゃないけど、麺は最高。料理人としてスカウトしたい」
マスターは得意げに笑った。
「隠してた?」
「えっ?」
「そうだぞロゼット!なんで早く教えなかった!」
僕は両隣から婚約者と親友に揺らされて、目を回した。
「ちょっと、ロゼットくん困ってるから!やめてあげてよ!」
それから、ふと思った。そして訊いた。
「あの日さ」
「ああ、あの日ね」
サマーは言った。
「どの日だよ」
「灰色になったじゃん、国宝がさ。」
「ああ、あの日か」
「でもすぐ色が戻ってたじゃん。どうやったの?」
するとシエルに、逆に訊き返された。
「ロゼットくんはどうしたら戻ったの?」
「ああ。僕は...もう誰も死なせたくないって思ったんだ。
そしたら、かな。ただがむしゃらにそう思って、そしたらなんか、白くなってた髪色も戻ってた。
みんなはどう?」
「私も同じ。」
サマーは言った。
「でも私の場合、死なせたくないって言うよりは生きたいって思ったかな。」
「生きたい?」
「生きたい......生きるっていうのは、ただ単になんとなくその場で死にたくないって思うだけじゃないと思う。
私はこの後みんなとご飯が食べたいって思った。そこに大切な人が欠けてたら嫌だと思った。
それがきっと、生きたいってことなんだって私は思う。
私は、だからかな。」
「おお、おれもそんな感じ。」
トキロウは言った。
そして続けた。
「でもよロゼット。お前の髪色は白から赤に戻ったんじゃなくて、ただ生まれつき赤だったのがコズミキ=コニスに白にされて、今度は自分の意思で赤色に変わった。
戻ったんじゃなくて、進んだんだと思う。
元は白かったであろう、この麺の色みたいにな」
そう言ってトキロウは麺を頬張った。
「なんか、無理やり良いこと言おうとしてない?」
「うん、ちょっと語感がださかった」
「まさか、名言だろ?」
「シエルはどんな感じ?」
「わっ!?私は...」
取り乱した。
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です!
私も、そうですね。みんなと同じです。
大切なみんなを守りたい、みんなと一緒にこれからも仲良くしたい。
そう思ったから...だいたいそんな感じです。」
「うーん」
サマーは顎に手を当てて、シエルを見つめていた。
「なっ...」
サマーがあんまり見つめるものだから、シエルは赤面して顔を隠した。
「あの日といえば、コニスカラメルもなんだかんだ中央都市として残ったな。」
トキロウが言った。
「うん。中央区を禁足地にしようってデモとかも起こってるけど...
「ならコズミキ=コニスも浮かばれるだろうよ。」
トキロウはフォークを置いて言った。
「彼女自身、故郷を復活させる計画が失敗して、どうせ出来ないなら大陸ごと消してやる〜って、ちょっと自暴自棄になってたところはあると思う」
サマーは言った。
「出来ないなら...」
シエルは小さく呟いた。
「...いえ」
そして大きな声で言った。
「できますよね!私たちならきっと、なんでも!」
... ... ...
食事を終えた僕たちは店を出た。
「それでよ、あの、どうよ。結婚式の予定は。いつになるんだ?」
トキロウが聞いた。
「来年」
「おお、おおおお。招待状送れよな。」
「どこに送ればいいんだよ?樹の幹に空いてる洞に投函するのか?」
するとサマーが言った。
「自分で取りに来るんでしょ?」
「ふっ、ご名答。」
「あ、あの!」
「どうしたの?シエル」
「あの、怒らないで聞いてください。」
「別に怒らないよ、シエルの言うことなら。多分。」
サマーは言った。
「多分なのかよ」
「私ね、王位継承権が二番目だから、さあ、別に誰と結婚したっていいんだよね...。」
「そうだね」
「それはいいな」
「それで?」
「だからさ、その、私を..............」
「「「私を...?」」」
「ロゼットくんの、第二夫人にしてくれませんか!!!!」
彼女のその衝撃的な一言に、僕たちは顔を見合わせた。
「「「「えぇ〜〜〜っ!?!?!?」」」」
僕とサマーとトキロウとシロは、シエルに向かって驚いて変な声をあげた。
THE END
THANK YOU FOR READING!
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