フラストノワール、花の国の王子は突如消滅した故郷を歩く。—ロマンチックな王国滅亡によって自動的に発生するオートマチック婚約破棄—
紅茶ごくごく星人
プロローグ
※プロローグあくまでフレーバーテキスト的なものです。
世界観などをわかりやすくするためのものなので、今読んでも後から戻ってきて読んでも、どちらでも。
ーーー
ある世界。
大きな大きな海があった。
大海の上には、綺麗にまんまるの形をした大陸がぽつりと浮かんでいた。
それを見た神は、大陸に4つの紋章を刻んだ。
紋章の加護を受け、大陸には4つの国ができた。
大陸の西部には、情熱的な赤き花の国ができた。
花の紋章に魅せられたものたちは美しさを追求し、花に囲まれた街や彩溢れるや衣服、精細な工芸品を作り上げた。
大陸の東部には、厳かな黒きの鳥の国ができた。
鳥の紋章を崇めるものたちは平穏を願いながら規律と調和を重んじ、繊細な食文化や木造の建築など、多様ながらもそれぞれが溶け合う独自の文化が形成された。
大陸の北部には、草葉舞う黄緑の風の国ができた。
風の紋章を愛するものたちは自然と触れ合うことを生きがいとし、ありのままの姿を大切にした。鳥獣と友好関係を結び、共に伝統を学び、愛し、新たな知恵を育み受け継いでいく環境が生まれた。
大陸の南部には、幻想的な黄金の月の国ができた。
月の紋章を想うものたちは寒暖差の激しいその土地で生きる術を磨きながら、夜空に浮かぶ星に理想を追い求めた。その結果人々は、魔法とも違う摩訶不思議な現象を起こすことができるようになった。
そんな四つ切りの世界に今、15歳になる4人の王族の子供たちがいた。
花の国の王子、鳥の国の巫女、風の国の王女、月の国の王女。
これは彼らの恋と革命の物語。
... ... ...
「王族が"革命"って言葉を使うの、なんか違和感ないかな?むしろ革命される側じゃ...」
「鋭いね。確かに君の言う通り、この物語の中で彼らは革命される。だけど自らが、革命することもある。」
「ちょっと何言ってるのか、よくわからないや。」
「そりゃそうだよ、まだお話を見てないんだから!でも、見てればすぐに、ちゅるちゅると素麺を啜るようにわかるさ。」
そう言ってあなたは次のページをみた。
電子の二枚貝で打ち込まれたその文字を、大理石、蝋燭、鉄の剣と鎧兜、木陰、幻想的な火の粉、夕暮れ、羊皮紙、夜の香り、川のせせらぎ、そして蒸気の漂う駅の香りでむせ返るようなジャンクでインスタントだけど、どこか優しい、そんな軽やかなポップコーン的物語を、瞳から脳味噌へと流し込んだ。
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プロローグEND / 前編 滅亡前に続く↓
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