一角と千角3・外伝

ましさかはぶ子

◇1◇ 結婚祝い





a川「二人ともこっち、こっちだよ。」

c葉「あー、久し振り。元気だった?」

b場「みんな久し振りだね。ところで今日はなに?」

a「ねえ、美行君結婚したって知ってる?」

c「えっホント?」

b「マジ?」

a「本当よ、あ、私はミルククリームパンケーキ。ハートティーで。」

c「あー、私はアソートキャラメルパンケーキにしようかな。

ねこねこティーお願いします。」

b「ごめん、私はお昼食べていないからランチブリュレ頼んでいいかな。

飲み物はバラエティアイスコーヒーで。」

c「あら、食べてないのね、全然良いよ、お願いしまーす。」

b「それで、なになに、美行が結婚って?」

a「うん、衣織から聞いたんだけど先月結婚したんだって。

しかも授かり婚。」

c「うそー!」

b「まじか。それで相手の子は?」

a「私達とは全然会った事がない女の子で管理栄養士だって。」

b「食べ物関係か。なんか違和感ない。」

c「うん、みゆって食べ物はすごく気を使っていたもんね。

肥っちゃだめだーってこちらが外食したいのに

夕食前に家に帰ったし。」

a「そうそう、剣道の道を究めるのは分かるけど、

たまにはこう言う甘いものも食べたいのにね。」

c「ね、あー、来た来た、先に食べて良い?」

a「良いよ、もうすぐ来るから。キャラメル美味しそうね。

今度頼もうかな。」

c「ミルクパンケーキも美味しそう。」

b「ランチだけどその後何か頼もうかな。

見てると食べたくなるよ。

ところでまだ美行の事、みゆって呼んでるの?」

c「あー、癖でね、でも奥さんが出来たら青葉君の方が良いよね。」

a「そりゃそうよ、あなたももう結婚してるんでしょ?」

c「そうねえ、みゆ……、青葉君と別れた後に会った人と結婚したから。

別れたのはもう5年ぐらい前かな。」

b「良い人なんでしょ。何しろあげチン君だし。」

a「それで衣織から相談されたんだけど、

みんなでお祝いを贈ろうかと言う話で。」

c「青葉君の元カノばっかりだけど良いの?」

a「元カノって言ってもみんな何もしてないでしょ。

二人で遊んだことがある程度だから。

一応高校の同級生だし友達って事で良いんじゃない?」

c「まあ、そうね。じゃあ何にしようか。」

a「まあ衣織からはやっぱり現金じゃないかって。」

c「あー、そうかもしれないけど……、なんか味気ないわね。」

a「あの子らしいけどね。

でもやっぱり必要なのは現金だろうし、ちょっとした赤ちゃん用のタオルセットと

お祝い金で良いんじゃない?」

b「まあそれが良いかもね。でも美行が結婚かあ。」

a「それでもう一つ、秘密情報。」

b「なによ。」

c「なに?」

a「……衣織が男と付き合っているって。」

b「……。」

c「……。」

a「驚き過ぎて声が出ないでしょ。」

b「……これこそ、マジ?」

a「本当よ。これは美行君から聞いた。

衣織から結婚の事を聞いておめでとうだけ先に昨日電話したんだけど、

その時に聞いたのよ。」

b「誰よ、その男って。」

a「他の一寸法師で働いている柊豆太郎っていう人だって。」

c「豆太郎?すごい名前ね。」

b「どんな奴よ。」

a「はは、そういきりなさんな。

美行君の話ではのんびりして鈍感でおっとりしてるって。」

b「なに、その男。」

c「そう言えばあなた、昔衣織にラブレター出してたよね。」

b「止めて、黒歴史!」

a「でも確かに衣織は格好良かったからね。

剣道部でもトップクラスで美行君も勝てなかったし。

背も高くてシュッとして歩いているだけでも格好良かった。」

c「ファンクラブがあったもんね。

高校卒業の時は衣織の周りには女の子の人だかりだったよね。」

b「その豆太郎は格好良いの?どうなの?鈍感なの?」

a「まあ、美行君はあいつは凄いって言ってたよ。

ただものじゃないって。」

b「衣織ぃ、お前もただの女に成り下がっちまったのかぁ。」

a「何を言ってるのよ、バカねぇ。

あなただって付き合っている人いるじゃない。」

c「でもみゆが結婚したより、衣織に彼氏が出来た事の方がびっくりだー。

全然浮ついた話は無かったから心配だったのよ。」

a「だよね、その豆太郎と言う人が真面目な人だと良いけどね。」

b「……何だか複雑な気分だけどそう考えないとだめだよね。

衣織の幸せを考えてこその推し活だわ。

ところで今日は衣織は来るの?」

a「来るって言ってたよ。」

b「豆太郎の写真を見せてもらおう。」

a「だね、色々と問い詰める。」

c「あ、来たよ、衣織。」

衣織「遅くなってごめん。」

a「良いよ。それで美行君のお祝いだけど、

現金とちょっとした品物が良いんじゃないかって。」

衣織「そうだね、この後買いに行こうか。何が良いかな、写真立てとか。」

b「まあ色々見てから、で、豆太郎って誰。」

衣織「えっ、」

b「豆太郎よ、美行が言っていたらしいじゃない。」

衣織「えっ、美行が、その、何か言ってたの?

あ、私はストロベリーストライクパフェで。」

a「昨日美行君から聞いたよ。」

衣織「あいつ、べらべら喋りやがって……。」

c「こわーい、衣織、またみゆを殴るの?」

衣織「〆る。」

a「昔から何かあると美行君殴られていたもんね。

学生の時に美行君を好きだった子達が二人は付き合っていると

勘違いして衣織に嫌がらせした事があったじゃない。」

b「あったね、美行も同居しているだけだってはっきり言わなくて

なあなあで済ませていたからみんなの前ですごくもめたよね。」

c「あの時にみゆが恥ずかしいのかはっきり言わないから

その子達の前で衣織がはっきり言えってみゆを殴ったんだよ。」

b「凄い音がしたよね。」

a「それで美行君ファンクラブのみんながドン引きして

衣織への嫌がらせは止まったし、

むしろ衣織ちゃん格好良いってなっちゃって。」

c「嫌がらせしていた方もどうだかと思うけどね、

私も衣織格好良いと思ったもん。」

衣織「実はさ、今回も私は美行を殴ってやったんだよ。」

「「「えっ!!」」」

衣織「だから美行は結婚出来た。」


聞いていた三人は大きくため息をついた。


衣織「私が殴ると大抵いい方向に向くのよ。

何ならみんな殴ろうか。」


衣織がにやーりと笑った。


a「いやー、遠慮するわ。」

b「だよね、あの音では頭蓋骨が陥没するかも。」

c「私は身重だからだめよ。」

「「「えっ!!」」」

衣織「つ、つわりは?菜穂ちゃんは4ヶ月だけど結構キテるよ。」

c「昨日分かったの。

今のところ熱っぽいだけで何ともないけど。

で、みゆの奥さんは菜穂ちゃんって言うの?」

衣織「そう、菜穂子ちゃんって言うんだけど料理が上手くて。」

b「やっぱり男は胃袋なのかなあ。」

c「みゆもしっかり掴まれたんだね。」

a「みゆは止めたんじゃないの?」

c「ああ、そうだった、青葉君ね。」




と女性の話は果てしがないのでこれで終わり。

みんな幸せそうで何より。







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