夜、公園で

銀狐

昼間の喧騒が嘘のように、暗く静かで冷たい夜。


大通りをまばらに走っているトラックの音も、通りを一本入ってしまえば耳までは届かない。時折風で草木がすれる音がするが、それもこの住宅街の真ん中では気にかけなければ殆ど聞こえない。映画ならこんな場面でお約束のように浮かんでいる月も今は見当たらず、ただ雲一つないだけの空がどこまでも広がっている。


何故こんな時間に外に出ようと思ったのか、もう思い出せない。ただ、締め付けるような寒さのせいか、頭は凍ったように静かだった。そして、もう少しだけこの時間が止まったような世界を楽しみたいと思い始めていた。

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