第7話 「順風満帆アルティメットニート」(異世界余裕すぎww)


 そうしてテンプレ通りに始まった俺の異世界ライフ


(美少女幼馴染は居ないが、エリーちゃんが居るからギリ許す)


 転生から一ヶ月ほど経過して、俺は何事も無くここの生活に順応していった。


(超お金持ちのエリーちゃんちに居候しているだけなんだけど)


 それにしても異世界っていいな。


 なんか物事がトントン拍子に進んで行くっていうか、都合の悪い事があんまり無い。あからさまに悪い奴やランクを馬鹿にして来る奴は大体噛ませ犬だし、俺の最強さを証明するただの駒みたいなものだ。


 もっともそれは、力が全てのこのファンタジー世界で、俺が現地の人間とは規格の違う能力を持っているからかも知れない。


(Fランクだけど)


 あと超イケメンだからなのか、超強いからなのか、伝説の精霊(サラマンダー)を従えているからなのか、すげぇ人が寄ってくる。


 気付けばいつも美少女達に囲まれる様になってた。エルフにオーガ、それにケモミミのビースト族なんかもいる。


(大体巨乳。最高)


 勿論正妻はエリーちゃんだけどねw。

 俺が女の子に囲まれて猛烈なアプローチを受けてると、拗ねてその女の子を引き剥がそうとして来るんだww。

可愛いなぁ。うへへ。

 

 多分エリーちゃんも、他の女もみんな俺の事が好きだと思うww。

 あ、いやマジでw。

 ラノベじゃあそんな美少女達の好意に鈍感な主人公だけど……ごめん、俺はガンガン気付いてるし下心マックスだwww。


 山田拓郎時代では考えられない事だ。女子からも男子からも遠巻きにされて、好意を寄せられるなんて事なんぞ一度だって無かった人生だ。


 良いだろ、満喫させてくれよ。


 まさか死んでから童貞を卒業出来るかもしれないなんて思ってもみなかった。


 力も無く、顔も悪かった俺が、今は真逆の存在になってる。毎日が華やかで正に順風満帆といった具合だ……ふへ、世の中、顔と力だよなぁww




 だがこの世界でも一つだけ、気掛かりな事があるんだ。


 “異世界者”。


 という単語が時折会話に出て来る事がある。

 俺はその話題になった時に、直ぐに自分がそうだといってまたみんなを驚かせようとした。

 

 でも、異世界者の話しをしている時、みんながどうも不穏な空気で、慎重に話しているのに気付いて黙っておいた。

 自分がそうだと白状したら、なんでか分からないけど、何か良く無い事が起こりそうな気がしたから。

 まぁこのままの生活を維持していたいし、特にそんな事を話すメリットも無いしね。


 他に、この一ヶ月で他にあった事と言えば


 村人を迫害していた領主を懲らしめたり、ギルドで幅を利かせてたSランクの冒険者をコテンパンにやっつけたりでしょ……?


 あと、魔王の配下とかいうのがミィ子を狙ってやって来た事があったな。

伝説の精霊を魔王が欲しがってるとかって。


 なんとか四天王とか言ってたけどなんだったんだろう? ヒートLv1で平原ごと焼いたら、飛び上がって逃げていったっけ。


 うーん、あとは村に真っ黒い格好の、妙にニコニコしてる聖職者が来たり


(多分悪者w! まぁどうでも良いけど)


 謎の美少女冒険者が実は王国の姫君だったり


(追手の暗殺者は俺が倒しましたw)


 村を潰そうとした魔物の群れをミィ子が焼き払ったりとか……

 

 思えば色々あったかもな。


 もっともどれも俺の緊張感を呼び覚ます程の事でも無い出来事で、ただの暇潰しでしか無かったけれど。


 最近では俺に食ってかかってくる奴も居なくなったし……なんだかなぁ、チートってのも飽きてくるな。

 強過ぎる力ってのも考えものらしいww俺孤高www


 今この俺ケインの頭には、女の子の事しか無い。


 次はどの子のハートをキュンキュンさせちゃおうかな? 


 なーんてw


 山田拓郎時代には考えも付かなかったスケベな思惑がよぎっていく。


 ブスな女しか居なかった前の世界とは違って、女の子は選り取り見取り、選び放題ww

 イケメンチート人生楽勝すぎぃwww


 酒場のファルナちゃん? それともギルドの受付嬢ティルちゃんもいいな。新米冒険者のアリスちゃんもいい。


 ていうかなんか俺、一人で世界のパワーバランス崩壊させてませんww?


 思い通りにならない事、多分もう無いんだけどw


「おっヒョwww」


 あぁ、いかんいかん。思わず山田拓郎の残滓ざんしが表に出て来てしまった。


 ケイン、そう俺はケインだ。Fランクで最強の、炎の大魔術師。(イケメン)


そんな風に考えながら庭でうたた寝をしていると、俺を現実へと呼び覚ます声があった。


「おいケイン! 大変だぞ!」


 ギルド長のオッサンが俺を呼んでいるみたいだった。


「何があったのドルガさん」

「なーに呑気にしてんだお前はよぅ! この騒ぎに気付かないのかよ! 村の外れに魔王が現れたんだよ!」

「魔王っ!?」

「そうさ、信じられるか!? この世界を牛耳ってる張本人だよぉ! 多分お前のせいだろケイン!」


 うーん、ミィ子を拐おうとして来た奴を追っ払ったからかな? 

 だからってキングが直で来るかね? 確かに圧倒的力の差は見せ付けてやったけども。


 でも魔王か……この世界で一番強い奴なら、俺と熱い闘いを繰り広げられるかもしれないな。

 暇潰しとエリーちゃんへのポイント稼ぎには良いかw


 タイミング良くミィ子とエリーちゃんが俺の元に駆け付けて来る。


「ケイン!」

「ご主人! なんか凄いの来てるよぉ」

「はいはい、オッケーww」

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