第6話 午後のひと時



長いスカートを風に靡かせて

前を歩いている貴女は


少しご機嫌斜めのよう


折角

花咲く公園を歩いているのだから

もう少しだけ機嫌を直して

楽しく歩こうよ

と声を掛けてみたくなるのだが

私を時折睨む瞳の理由が分からない


私はどうしようもなく

彼女の後ろを歩いているが

どうもチグハグな心と心が気になり

ぎこちない


少し離れたところから

木々のざわめきが聞こえたかと思うと

一陣の風が花を散らす


花弁運ぶ風に飛ばされた貴女の帽子を

私は追いかけて拾い上げ

笑顔を作り貴女を見る


そうか

髪を切っていたんだね

春の風の悪戯は時に愛を運んでくれる


彼女に帽子を渡さず

そっとその短くなった髪を撫でると

この季節の暖かな日差しのように

貴女の笑顔が私を包んだ

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