epilogue.

 車窓から見える景色は緩やかに流れていく。それは決して電車の速度が遅い訳ではないのに、逸る気持ちがどんどん膨らんでいった。

 早く、早く駅に着いてほしい。

 しかし、ようやく駅に着いてもホームは人でいっぱいで中々前へ進めない。今日だけはそれがもどかしい。

 けれど、改札を抜け、駅を出た瞬間。全部どうでもよくなって──全力で駆け出していた。


「はぁっ。 はぁ。 はっ。 はぁっ。 はぁ」


 夕焼けに照らされ茜色に染まる道。

 懐かしい。

 小学生の頃、あのアイドルアニメを見たくて、必ずこの時間帯に家へ帰っていた。

 ちゃんと録画はしているのに、早く続きが見たくて。


「たっだいまー!」


 玄関にショルダーバッグを放り出し、すぐさま二階の自室へと向かう。

 そして、


「ごめんなさい。 もう逃げないよ、私」


 押し入れにしまったあのアイドルアニメのBDを本棚に戻した。



 1st fin.

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