夕坂秋海の日常 1 旧・【姉は楽な大学生活】夕坂秋海の日常【母は優雅な音楽生活】1

8.




「――おい、愚弟。時間」

「‥‥ぐへっ‥‥‥」



 バシッと強烈な叩きはたきby愚姉による最低最悪のモーニングコール

 それに毎度の如く文句を言いたくなるが、この程度で一々キレていたら頭の血管が足りなくなってしまうので、仕方なく背を向けて部屋を出て行く姉を小突くだけで終わりにする



「‥‥‥」

「っー、やりかえすこたねえだろ!」



 無言で目を吊り上げた愚姉に今度は頭を叩かれた。大体叩きはたきの応酬で俺たち姉弟の一日が始まる。因みに母は我関せずで、俺たちの喧嘩がヒートアップしてひどくなってきたら出張ってくる



「‥‥‥」

「‥‥‥」



 もそもそと目玉焼きを真ん中に、マヨネーズの壁で囲った食パンを食べながらテレビを見る。最近のブームはグロアニメだ。これを見る事は――食事をしながら、気持ち悪いグロいものを見るのを姉は嫌がる――姉への嫌がらせでもあるので俺はちょっと機嫌を直す。こんなんで食欲が失せるわけねぇだろ。バーカバーカ



「愚弟、消せ」



 聞こえないふりをして続行

 いやー、キツい顔をさらにキツくしてもはや般若面になっている姉の顔をおかずにして食べる食パンは美味いですなー。目玉焼きとマヨネーズが乗ってるけど



「――チッ、‥‥‥やる」

「‥っおい! レーズンこっちに乗せんじゃねぇ!」



 イラっと来たのであろう姉がわざわざシリアルの袋からレーズンを取り出して俺の皿にのせやがった。なにやってんだよ! 間違って食べたらどうすんだ!



「知るか」



 無言でにらみ合っていたはずなのにハンッと鼻で笑った姉の一言がこれ。お前! 俺の心を読みやがったな!

 おーおー、姉の顔が愉悦に染まってやがる。こいつを鬼として滅せられないかな。あー、ざまぁって幻聴まで聞こえてきた‥‥



「――行ってきまーーーす」



 ぎりぎりまで粘ってようやく家を出る。くそッ、大学生とリモート勢が羨ましいぜ!



「行ってらっしゃい、秋人」

「行ってら~」



 俺が言うのもなんだが、姉はしっかりと返してくれる。こういう挨拶だけは律儀なんだよな。他はクソだけど。‥‥‥あ、もしかして大学生ならでは余裕とざまぁという意味が込めてあったりするんだろうか‥‥――。だとしたら殺す! 17回ぐらい殺す!



「‥‥‥あっちぃ」



 自転車をこぎながら思う

 こんな毎日を大阪の漫才みたいと思う俺は、大阪への偏見持ちだろうか




―――――――

またの名を「姉弟二人三脚の配信生活」


お久しぶりです。ちょっとリアルが忙しかったもので、物語を練っている時間が無かったので急遽思いついたものです

因みにこの話の時は季節外れの猛暑日という設定。所謂初夏なのに。だから、「あっちぃ」と秋人秋海

物語全体の季節設定は春~夏。姉弟が住んでいるところは北なので、辛い。というか、聞いてねえよ!って感じ

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