【手遅れ気味な】同僚を覚える【お勉強】#1
3.
「うはー‥‥
多いなー‥‥‥」
(もう諦めてね?
(早いな
(てか、今から学習って何なん?
(知らね
(草
(まだ少ない方だろ
(ひどいとこなら何十人単位でいる
覚えなければいけない情報の多さにお馴染みの溜息を吐く私こと、漣雪菜。‥‥まちがった。夕坂冬火はただ今、遅ればせながらのお勉強中
所属事務所の諸先輩方のプロフィールなどなどを見て、覚えるのだー
(世界一やる気のない学習
(草
(そもそも、デビューしてから勉強って何なん?見切り発車すぎだろ
「私に聞くな
——はい、ダラダラ喋ってないで始めまーす」
(おまいう
(www
「まず一番最初はー
奏山宙‥‥‥‥‥‥」
(どした
(どしたん?
(先輩をつけろ。先輩を
(敬意が足りねえな。敬意が
(はなから呼び捨てwww
(草
非常にタイムリーな名前に私は突っ伏しそうになるもギリギリこらえ、なるべく穏便に。されど、素早く流していく
だって、あんなことがあったばかりだもん!
ちょっと動揺しちゃったのは仕方ないもん!
誰だお前‥‥?
自分でやって素で引いたわ
######
「ただいマンモスぅ~」
いつもながらのおバカな声を上げて帰ってきた愚弟に無言でブツを投げつける
——チッ、軌道がそれたか
「おわッ! あ、っぶねーな。なにすんだよ、雪菜! これスマホじゃねえか! ぶっ壊れたらどうすんだよ、俺の頭!」
「安心しろ。お前の頭なんかよりスマホの方が大事だ。身を挺して受け止めろ。もう、お前の頭は手遅れだからな」
危なげながらも受け止めた愚弟にチッと一度舌打ちをする
投げられたスマホの心配より自分の頭の心配かと呆れるが、それどころではないと苛立ちを募らせる
「おい。スマホ、見てみろ」
「お? なんだ、今日はカリカリしてんなー。急な仕事でも入ったかー?」
イライラしている私を見るのが嬉しいのかニヤニヤへらへらキモイ顔で揶揄ってくる愚弟に「問答無用!」の顔を向けると、愚弟は流石に今が馬鹿話の時間ではないという事に気付いたのか、渋々スマホの中を見始める
「こ、これは!!
奏山先輩からのメールじゃねか!!」
「そう」
「お、おまッ! 早く言えよ!」
「愚弟、お前がふざけて進まなかっただけ」
「ぐッ、言うじゃねえか‥‥」
いつまでたってもふざけるつもりでいるらしい愚弟にちゃんと文面を見ろと顎をしゃくる
—————————――――
件名:初めまで―す
こんちゃー、
判ります? ボクですよ、ボクボク。ボクだよー
判るよね?? 後輩さーん。新しい後輩さーん
ねぇねえ、ボクと一緒にコラボしませーん? コラボコラボ
返事は今日中でおねがーい
も ち ろ ん!!
断らないよね~。コラボ楽しみにしてるよ~!!
—————————――――
「‥‥‥」
「‥‥‥」
私はあらためて見る文面のひどさに
愚弟は見覚えがあるのか、あーっという顔をして内容を見、
二人して
「‥‥マジな性格してんのね」
「大マジ。——ったく、相変わらず変わんねーな。宙先輩は」
「Vtuberになった理由がうかがえる文面」
「おい、さらっと社会不適合者って言ってないか!?」
「その他はともかく、お前と奏山宙にしては当たっていると私は確信している」
「ふざけんなよっ! マジで!」
先ほどまでの静けさが嘘のようにわちゃわちゃする二人
「で、どうすんの」
「俺に聞くなよ」
「聞くしかないじゃない。あんたしかいないんだから」
「‥‥‥。ふッ、しょうがねえな‥‥オネエサマはよー」
「調子に乗んな」
「へいへい
‥‥まー、受けるしかねーだろ」
「その心は」
「
なんか文面おかしくない?と思うよりも前に舌打ちが出る
「クソ」
「クソとか言うなよ。光栄なことだろ?」
「それ、本気で言ってる?」
「全然」
「‥‥つか、お前、宙先輩のこと知ってたんだな」
「仮にも、あんたの職場だからね。Vの大手ぐらい知ってるっつーの」
「へー、以外。覚えられる頭持ってたんだな」
「はぁ? お前よりは100倍頭いいわ!」
「じゃあ、ウチの所属ライバー全員、言ってみろよ! あぁん!?」
「奏山宙、冥王セイ、星鳴新」
ドヤ顔を向ける姉、雪菜
マジかコイツと言ったような視線を向ける弟、秋人
「雪菜、お前、マジで言ってる?」
「ただし、愚弟は除く」
「今更のようにとって付け加えてもダメだわ!
つーか、付け加えても合ってねーし」
「は?」
「は? じゃねーよ!!」
「もう、お前! 勉強しろ!」
と、いう事でコラボ云々はさておき、私は只今お勉強中な訳である
・・・・・・・
「はー、多い
ちょっと休憩してもいいっすか?」
(なにへたれてるんだあまちゃんが
(へたるのはやすぎ
(何もしてない
(辛辣コメント多くて草
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