異世界の可愛い女の子落としたいけど文化も言語もわからない

@Bekong_45

§1 頼む!日本語をしゃべってくれ!

「相手が理解できる言語で話せば、それは伝わる。相手の言語で話せば、それは心に響く。」N.Mandela

ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラの言葉である。彼は投獄されようがアパルトヘイトに反対し続け、1994年に黒人初の大統領に選出された。

そんな彼の言葉だ、多くの人には心に響くものがあるだろう。


「だが俺は全く響かない。第一、外国人がこちらの言語を学ぶのが作法というものだろう。」

彼はひねくれ者の大学生の太田柏陽である。いま彼は自分探しの旅なる、けったいな痛々しい若者の夢を追いかけ、お気に入りの単車で山道を走っている。一丁前に煙草をふかして。

大学生らしいといえば大学生らしいが正直キモイ、痛々しい。だからだろうか、神の天罰かは知らないが単車が操作不能になり急に崖に堕ちた。こればっかりは神に同情する。


目を覚ますと流麗な金髪に透き通った紅玉のような目、陶器を思わせるような白色の肌。どれを取ってもまさに美女と言わざるを得ない美貌を持った女の子が自分をのぞき込んでいた。俺は知ってるぞ、この展開。悔しくもあの世界では死んでしまったが運よく異世界転生できたみたいだ。この手の異世界物は、俺にはチートスキルがあって勇者になったりして、最終的にハーレムを作れる。下心満載でむくりと体を起こして意気揚々とその女の子に話しかけた。


初めまして!俺太田っていうんだ!よろしく!インスタとかやってる?DM交換しようよ!


スマホを取り出そうとズボンを探すが…おかしい、スマホはおろか財布も、家の鍵もなくなっていた。


え?


動揺を隠せず自身の体中をボディーチェックのごとく触診し探したが見当たらなかった。


"slot kü majez ? "


動揺が伝播したのだろうか、女の子が話しかけてきた。でも…わからない。

一体全体どこの言語だってんだ。全然わからん。

少なくとも英語ではない。ではなんだ…シーザー暗号のようにでたらめに並べた日本語でないことはわかる、なんかこう発音が日本語臭くない。普通こういう異世界は日本語が世界共通語リンガフランカとかになってるんじゃないの?


まあいい、普段なら匙を投げるところだが大学生特有の逆張り精神が働いたのだろう、なんかやる気がわいてきた。俺はこの言語を制して最強のバイリンガルになってやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る