第16話 這



介護福祉をしていた私は、とある家のおばあちゃんのお世話をしにいったのです。



おばあちゃんは痴呆がはげしくいわば認知症なのですがたまにどっかにいく癖があるのです。





特に今日は激しかった。




目を離しているすきに外にでてるのですから




そしてその夜の事、おばあちゃんの息子さんが、残業で朝まで

かかるというので仕方がなくおばあちゃんの家で寝ることになったのです。




一階で寝ていた私は、上の階からなにか音が聞こえてくるので目がさめたのです。




ドン!!!!


ズルズル・・・・・




またおばあちゃんかと思い、おばあちゃんの部屋にいくと寝ているのです。




上の階だれかいるのかなと思いました。



おばあちゃんの息子さんかも!と思いました


そのときですが、私の携帯に着信がはいったのです



「もしもし?おばあちゃん寝ましたか?」


息子さんからでした


「はい、寝てますよ!」


「まだかかりそうですか?」と私は答えました





「まだまだかかりますねえ」



それだけいい着信を切りました。




そのとき!また上から音が



ズル・・・・・



ズル・・・・・



ズル・・・・



やっぱりなにかがいる!



でも上にいくことができませんでした。


なぜなら怖いからです。



ガタ!!!!



ガタガタガタタ!!!!

バタン!!!!



なにかが一階へ転んで落ちてきたのでした。



その音はしだいにわたしとおばあちゃんの

いる部屋のドアの前にへときたのです。



ズル・・・・・




ズル・・・・・・




なにかが這いながらきてるような・・・そんな感じでした。



そのときおばあちゃんが


「あんた!!!もうお帰りかい?」


ドアの向こうにむかって話かけているのです。



わたしは、おばあちゃんが異様に怖いと感じたのです。




バタン!!!!!


ドアの向こうから



音が



ズル・・・・



バタン!!!



ズル・・・・



バタン!!!



外へとでようとしている音です。



わたしは、その者をたしかめたく自分たちのいる部屋のドアを

半開きにしてのぞきこみました。




そこには・・・・・





全身血まみれの髪の長い女性


足元は異様な角度で足がまがっている。



折れていて、うまく歩けないのらしい。



手だけで這うように歩きながらも玄関へといったのです。



「もう!心配しないでおくれ!わたしもすぐにいくから」



うしろからおばあちゃんが独り言のように言いました。



玄関のドアをガラ・・・・

と開く音がきこえ


「ウウウウ・・・・・・」



うなるような声が


そのまま外へとでてどこかへと去って行きました。




そして朝のこと・・・・おばあちゃんは他界してしまいました。



息子さんに事情をきくと妹さんがいたらしいのだが、




おばあちゃんのじいちゃんはDVであってよく妹さんに虐待をしてらしい。


元ヤクザだとかで最後には度がすぎてしまい


首をしめて殺してしまったのです。


そのまま天井裏へと隠したとか


でも天井裏を探しても見つからなかった妹さんの死体が


迷宮入りのまま事件は流れたのですが


わたしがみたあの不気味な這う女性はまぎれもなく妹さんだったと思います。




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