怖
零壱
第1話 腐
小学生の頃、友達との会話の中でもっとも怖かった話です。
当時、4年生だった私はその頃に流行った都市伝説などで友達同士で話あっていました。
かけてはいけない電話番号やトイレの花子さんなど。
その時に話していた話というのが深夜のラジオ番組でしていた怖い話でした。
話を聞いた後の後悔は、夢の中に出て来るほどでした。
話の内容は、とある別荘地に宿泊しにいった高校生男子生徒4人が、一泊するといった話でした。
山と川のキレイな景色の中、佇む別荘地。
よく晴れた日に釣りにバーベキューにと楽しんでいました。
夕方になると焚き火に囲みながら満喫して部屋に入ったそうです。
寝静まり、深夜の2時頃でした。
突然、ドアをノックする音が聴こえて来たそうです。
トントン・・・
誰か来たのだろうかとドアを開けたそうです。
「はい、どなたですか?」
頭が朦朧とするなか、そこには赤ちゃんを抱えた女性が立っていました。
「こんな夜晩くどうされたんですか?」
訪ねて見ました。
「すみません。道に迷ってしまい、真っ暗なものでここまで来ました。」
「はあ」
突然のことでびっくりしたのですが寝ていたみんなが起きてしまいました。
「一晩で良いので、寝かせて頂いて宜しいでしょうか?」
と女性は言いました。
「まあ、良いですよ」
人優しいだけあって受け入れようとしたんですが友達の1人がイタズラ好きのせいで
「なら、ここから下に降ったところにある川の水草をちぎってきたら良いですよ」と無茶なノリで言いました。
聞いていた自分は、
「おい・・・」と言いかけると
「分かりました・・・・」とだけ言って女性は赤ちゃんを抱えたままドアを閉めました。
本気で取られるとは思いもしませんでした。
そのままベッドで横になっていると、
川の流れる音の合間から
ブチ・・・
ブチ・・・
と確かにちぎっている音が聞こえてきました。
その度に赤ちゃんの泣き声が激しくなっていました。
30分経つとちぎる音も無くなれば赤ちゃんの泣き声も聞こえなくなりました。
トントン・・・・
するとまたノックする音でビクっとしていました。
他の3人も起きると
「ちゃんと謝れよな」と茶化した友達に言いながらドアを開けました。
ガチャ・・・
「え!・・・・」
全員血の気が引きました。
女性の顔は、真っ赤に染まっていてまるで生気のない死人のような顔をしていました。手も真っ赤に染まり、それは血であることには間違いありませんでした。
そう確信したのも抱えている赤ちゃんの髪がちぎられていたからです。
小さな身体にも飛び血がたくさんついていて、もうすでに死んでいました。
「ちゃんと持ってきましたよ・・・ほら」
手にはみずから抜いた赤ちゃんの髪をちぎったのを差し出してきたのです。
「ほら・・・・」
ニタっと笑う姿に全員ゾワッとしました。
「う、うわあああああああー」
その場から逃げ出してしまいました。
別荘地の管理者宅まで全員走りました。
その夜、管理者宅で寝泊まりすることになりました。
朝に管理者に状況を伝えました。
「見たのか・・・」とビックリした様子でした。
話を聞けば、まだ戦時中に免れてきた親子連れがこの地に来たことがあったと話をしてくれました。
その後この山で行方不明になり、その祟りが今でも怨念として形を現したのだと。
あの時のあの顔、今でも思い出すとゾワッとします。
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