エイプリルフール 嘘か真か
ろくろわ
誰が為
「ありがとうございます!応援ありがとうございます!!皆様あっての私、
週末にある市長選挙に向けて最終演説にも熱が入る。
今もっとも市長に近い男、本堂 慎二手。
政治の経験はなく、本堂の応援者も近親者のみだが、人のよさと行動力のある姿は皆が知っていることであった。
本堂 慎二手も公約を掲げ最後の演説の為、孤軍奮闘していた。
街中には私の演説を聞くために沢山の人が集まっている。ここでしっかりと私の熱意を聞いて貰うんだと、本堂は気合いをいれマイクを握った。
「皆様ありがとうございます!今の世の中、物価高に歯止めが聞かず増税増税の毎日です。子育て世代への応援。弱者への応援と言いますが一向に生活が変わることはありません!隣国からの驚異から国を護るため、軍事費も上がる一方です。いったい、国を護るため国民の負担をあげて、何の驚異から国を護るのでしょうか?国に住む国民は疲弊しております。何も信じず関心も失いつつあります。私が市長になった際には、先ずは市の中からこれ等の問題を解決していきます!!信じられる政治を胸に前に進んでいきます。皆さんへ還元を胸に市から県へ。そして国へと声を届け、豊かな毎日が送れるように約束します!!」
本堂は一息で声高らかに言いきった。
本堂の話を聞いていた街中の人達からも歓声が沸き立ち、本堂は手応えを感じていた。
自身の伝えたかったこと、目指す未来を話せたこと。満足の行くものだった。
これで明日の選挙は確実なものになっただろう。
本堂は明日の選挙を楽しみに事務所へと戻っていった。
そして、本堂は選挙に落ちた。
本堂の敗因はたった一つだった。最後に思いを伝えた演説当日。四月一日がエイプリルフールであったこと。
そう、皆演説を嘘だと思って聞いていたのだ。
綺麗なこと程、実現が難しい。
皆その事を知っているのだ。
了
エイプリルフール 嘘か真か ろくろわ @sakiyomiroku
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